滅相な。私は貴方の忠実な下僕です
「暇だなぁ………」
今日も代わり映えない一日。大臣の息子、ブンが愚痴を漏らす。彼は前髪が長いのが特徴的である。
「良いじゃないの、平和が一番よ、ブン」
そういってブンを宥めるのは大臣の娘でブンの姉であるフーム。少し目付きが悪いのと、金色のポニーテールがチャームポイントだ。
「でもさ〜〜。こんなに暇だと退屈しちゃうんだけど」
「だったら、メタナイト卿の所へ行けば良いじゃない。あの人なら面白い話をたくさん聞かせてくれると思うけど?」
「確かに。じゃあ後で姉ちゃんも行こう!」
「まあ、私も暇だし、良いわよ?」
二人の中で話題になっているメタナイト卿しかし今彼女はそれどころでなかったのである…………
ハルバード内通信室_____
メタナイト卿が所有する、宇宙戦艦ハルバード。
その中にある通信室では、彼女の部下のソードナイト、ブレイドナイトを含め、六人の戦士が膝まづいていた。
「こんな夜更けにどうしたのだ」
スクリーンに映された銀河戦士団のリーダー、オーサー卿が問い掛ける。眠りを邪魔されたのか、少し機嫌が悪い様だ。
「大変申し上げ難いのですが………」
口ごもるソードナイト。彼に替わって、ブレイドナイトが続ける。
「メタナイト卿がナイトメアの魔獣に捕らわれました!」
「なっ………何………………!?」
紫の瞳が見開かれる。今ので目が覚めた様で、かなり動揺しているのが見て取れる。
「カービィは…カービィ殿は無事かっ………!」
「カービィ殿は一応無事です」
「無事ですぽよっ!」
ぴっ、と敬礼するカービィ。
「それは良かったが………だがメタナイト卿は………」
何やら考え始めたオーサー卿。
「と こ ろ で」
「「「「「「???」」」」」」
いきなり乱入してきたパルシパル卿が言った。
「ヤミカゲ、なんでお前が居るんだ」
「あっ………」
「お前のせいじゃないのか?メタナイト卿が居なくなったのは」
ヤミカゲが裏切り者で、ナイトメアから送られた魔獣だとあくまでも突き通すつもりだ。
それは否定できないため、黙ってうつむくヤミカゲ。
「ヤミカゲは何も悪くない!」
「メタちゃんが捕まったのは私達の責任だったのよ!!」
ジョーカーとガールードが叫んだ。
「メタナイトが好きなヤミカゲはメタナイトにそんな事する筈がない!」
「そうぽよ、ヤミカゲはもうナイトメアと契約を切ったから、メタナイトをひどい目に遭わせる訳ないぽよ!!」
む、と口をつぐむパルシパル卿。
「………………とりあえずメタナイト卿を見つけたら………保護してくれ」
今まで黙っていたノイスラート卿が口を開く。
「そして我々に知らせてくれ。頼むぞ」
「はいっっ!!」
元気よく返事をした六人。
そんな中、オーサー卿は一人考えていた。
カービィ達を疑う訳ではないが、もしそうだとしたら、何故メタナイト卿が連れ去られたのだろうか?
彼にとっては、謎が深まるばかりであった。
ナイトメア オブ イリュージョン
ナイトメア要塞 魔獣・ 変形 の間
「嫌だぁ………離せぇ!」
部屋に甲高い少女の声が響き渡る。
自分の不注意で捕まってしまったメタナイト卿である。
彼女の親_____ナイトメアはそんな娘を見てニヤニヤと笑っている。
「メタ・ナイトメアよ、久しぶりだな、会いたかったぞ」
「その名で呼ぶな!!」
メタナイト卿はナイトメアを睨みつける。しかし、ナイトメアにとってそれは可愛いモノでしかなかった。
「フフフ、今お前を気持ちよくしてやろう」
ナイトメアはゆっくりとメタナイト卿の脳内に語りかける。
そして、頭に手を添え、彼女の脳内に闇の力を送った。
「うっ!?」
いきなりの事で避けることもできず、メタナイト卿はまともに喰らってしまう。
「フフフ、これからどうなるか………」
その言葉を聞くか聞かないかの内に、メタナイトは倒れてしまった。
メタナイト卿の精神の世界__________
「うぅ………」
_____まだ精神が残ってたのね
「誰だ、お前は?」
_____覚えていないの?私は貴方の魔獣の部分よ
「嘘だ、確かお前は私が精神の奥に押しやった筈だが………」
_____御父様の力にかかれば、どんなことも引っ張り出せるわよ
_____それよりもねぇ、なんで星の戦士なんかになったの?
「………………」
メタナイト卿は返事ができない。
_____私達がやる事と同じじゃない。それに貴方は兄弟を殺しているのよ?
「それはっ………!」
_____いいのよ、たまには本能のままに動けば。それに私が力を貸してあげれば、貴方はもっと強く成れる。いい事ずくめじゃないの
自分の中の魔獣は更に利点ばかりをあげていく。
メタナイト卿は泣き始めた。
「嫌、いやあ………!」
_____早く私を受け入れなさい。さあ早く!!
ナイトメアの力で、魔獣は力が増していく。
「あああああああああああああああっっ!!」
メタナイト卿の精神の世界に彼女の声が響き渡った。
(………かーびぃ………へい…か………たすけ………)
メタナイト卿本人の意識はそこで途切れた。
メタナイト卿の体を奪いとった魔獣はゆらりと起き上がった。
「はぁ、メタナイトも意外と強情ね………まあいいわ、ねえ御父様?」
メタナイト卿はナイトメアに問う。
「ああ、いいぞメタ・ナイトメア。」
ナイトメアは満足そうに言った。
…………………………………………………………
デデデ城大広間_____
「おお、遂に出来たかゾイ!」
デデデは嬉しそうに声を上げる。
メタナイト卿がナイトメア社に送られてから一週間。ちょうどカスタマーサービスの言った日だ。
「はい。今度はちゃんと出来ましたとも」
「すぐ寄越すゾイ!!」
デリバリーシステムが光を放つ。
光が消えた時、そこには___________
見馴れた蒼い髪の少女が立っていた。
「おお………」
メタナイトはデデデを見るとにこっと微笑んだ。
デデデはその顔にやられそうになったが、こほんと咳をして、言った。
「メタナイトよ。お前はワシの何ゾイ?裏切り者かゾイ?」
デデデとメタナイトを除く三人が(カスタマー、エスカルゴン、ナイトメア)見守っている。
メタナイトは口を開いた。
「滅相な。私は貴方の忠実な下僕です」
それを聞き、デデデはニンマリと口角をあげる。
メタナイトはデデデの言う事を聞く愚かな人民共と同等になったのだ。
やがて部屋に居る者は一人二人と出ていき、最後にはデデデとメタナイトの二人になった。
デデデはメタナイトを抱き寄せる。本人は嫌がる事もなくデデデに微笑み続けている。
デデデは彼女の柔らかい頬に優しく口付ける。
_____これでお前はワシの物。誰にも渡さない。
窓の外には星がちらついている。
まだまだ夜は長い。
続く
〜〜あとがき〜〜〜〜
題名が名台詞をパクってる!とかいう奴表に出ろ。いや、出なくていいけど。いや、出るなって!!
最後がデデメタなのはたまたまですたまたま。陛下は独占欲が強そうですね。それに嫉妬するエスカルゴン………。これは上手い(何
まあ、と言う訳で、(何が)二十本目です。長く続くかも。ううん、続くな、こりゃ。これからもよろしくお願いします。
メタ