あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: テーリィ/投稿日時: 2017/08/11(金) 10:31:06
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だってパンサーカメレオンちゃんは『けもフレ俺の嫁四天王』の一人だし...ニンジャ能力はカビファZのめちゃむずをノーコンでクリアできた思い出があるし...(
第17話:むーすぼーぐ(10/11微修正)
《BGM:『タチカビSR』あやしいぞ...》
鋼鉄の平原。その無機質な一角が、サーチライトによって不自然に照らし出されていた。
「どーしちゃったんだよ?そんな気合いまでいれちゃって...」カービィは大きな木製のハンマーを握りしめ、その頭には白と青のねじり鉢巻きが巻かれている。
ふいに、プロペラ機の合間を縫って、ショッキングピンクの飛行艇が降下してきた。
「...あの船は...!」
ライオンの予想通り、飛行艇からおりてきたのはあの敏腕秘書――スージーだった。しかし、何やら紅い布を被せた大きなものを連れている。
「あら、ピンクのストレンジャー様!それに...いつぞやのゲンジュウ民の方も...好都合ね」余裕綽々の態度に、変わりはない。
「今度は何だ...スージー」
「まぁ、ワタクシの名前を覚えてて下さったの?でも...もし口のききかたを心得ているなら、『さん』位付けるべきではなくって?」
スージーはそう言ったが、カービィとライオンの真剣な眼差しに気付き、コホンと咳払いした。
「...そうそう、ワタクシ先日、クールなゲンジュウ民さまにお会いしましたの」
「ゲンジュウ民...クール...?」
「パワフルで、猪突猛進で、勇ましい角をお持ちのゲンジュウ民さま...」
「角?うそだ...まさか...」
「せっかくお会いできたのですから...ちょっぴり全身カイゾウを施し、わが社のセキュリティマシンとさせていただきました」
そう言うとスージーは、紅い布を剥ぎ取った。その中身を見て...ライオンは絶句してしまった。
「――!」
――ヘラジカだった。しかしその体のあちこちには機械や見たこともない武器が取り付けられ、もはや全身が兵器のようだった。
「ね、ステキでしょう?お気に召していただけるかしら...プロダクトナンバーK-1029...『ムースボーグ』よ!」
「なんてひどいことを!」カービィは耐えかねて叫んだ。
「ひどい、ですって?かつてのヘラジカ様は、五人というちっぽけな軍を率いておられましたね。しかしながら彼女は今、カンパニー最強のサイボーグ戦士。ゆくゆくはハルトマン軍の指揮官となり...アナタ方は...」スージーは何故か、言葉を途切らせた。
「ヘラジカ!私だ!解るか!?待ってろ、今こんなの全部外してやるから...」
ヘラジカは虚ろな目をしている。装着されたヘルムのレンズが、ライオンとカービィを敵――それも「戦」の相手ではなく、完膚なきまで攻撃して駆除すべき存在――と認識した。
「おゆきなさい!!」
《BGM:『エアライド』エアライド:チェックナイト》
スージーのオーダーを聞いた刹那、ムースボーグは二人に攻撃を始めた。カービィはハンマーを構え、向かってくる敵のほうに走る。
「“ジャイアントスイング”!!」大きなハンマーをぶん回す、強力な一撃...のはずが、相手に当たった瞬間、カービィは力負けして弾かれてしまった。
(ハンマーの攻撃が...はじかれた!?)
“ハンマー”の能力は、大王直伝の強烈なワザを数々もっている。それが弾かれた以上、力だけで太刀打ちできる相手ではないことを二人は悟った。
「よし...カービィ!私が攻撃するから、君は気を引いてくれるかな?」
「...うん!」
ライオンとヘラジカはもとより因縁の相手。そして、一番の戦友でもある。彼女をカンパニーの呪縛から解くには、自分こそがムースボーグと戦わねばとふんだのだ。
「くっ!たぁ、やぁっ!」
電流をまとった、角の棍棒での連続攻撃。カービィはそれらを全て、ハンマーで受け止める。
「うおっ、とぉ...どうして後ろにいるって解るんだ!?」
対するムースボーグも、二人がかりでの攻撃を造作もなくかわし、反撃する。取り付けられた重量のせいかそれほど機敏ではないが、それでも全身カイゾウによる力は脅威だ。
「もらった!“鬼ごろし...火炎ハンマー”ぁぁ!!」一瞬の隙をつき、カービィは必殺技を叩き込んだ。紅蓮の炎を纏ったハンマーが、ムースボーグを大きく吹っ飛ばし、棍棒を弾いた。
「ナイス、カービィ!」すぐさまライオンはヘラジカの元へ駆け寄った。
「ヘラジカ、返事してくれ!頼む...ライオンだ、わかったら目を覚まして――」
しかし、そのレンズにはまだ敵意の光があった。ムースボーグは上体を起こすと...肩のランチャーから、無数のミサイルを放った。
「...!?」


(む...そろそろ拙者の順番でござるか...?)
ちょうどその頃――秘密基地にて、見張りの順番に備えて仮眠をとっていたパンサーカメレオンが、目を覚ました。遠くから聞こえる、爆発音で。
「...ライオン殿?」返事が聞こえるはずはない。代わりに、平原のほうから激しい戦いを連想させる音が響く。
「もしかすると...」
カメレオンは主君の帰還を感じ、一人夜の湖畔へ飛び出していった。


カービィは弱っていた。
爆風で吹き飛ばされ、ハンマーの能力ももうない。かばんもいないため、今得られるコピーは“リーフ”程度しかない。
おまけにムースボーグは今、動けないライオンに少しずつ歩み寄っているのだ。
万事休す、と思われた...その時。
「ヘラジカ...様?どうして..あんな....お姿に...」カービィの後ろで、声がした。
「ぽよ?」
「あれっ、そなたはカー...ビィ殿?」
「...そうか、それだっ!ごめんね、ちょっとだけ力をかして!」
「...へ?」カメレオンが姿を隠す隙も与えず、カービィは口をぱっくりと開けた。
「え、何...ワアアアッ!」

――もうダメだ...畜生...
ムースボーグは再び、弾倉を向ける。無数のミサイルが再び放たれた...その瞬間。
「てやぁーっ!!」
横からいくつものクナイが、空を切り裂いて飛んできた。ミサイルは全て、一瞬のうちに撃墜される。
「!?」あっけにとられるライオンの前で、カービィは決めポーズ。
「おくれてすまぬ...ニンジャカービィ、ただいま参上だよ!」
今度はいつの間にか、紫色の頭巾を被っているカービィ。背中には刀を背負っているようだ。
(そうか...何も正面からぶつかり合わなくても...!)
ビームの連射を、刀で弾き返す。敵の攻撃が途切れた刹那、カービィは『秘策』を決行した。
深紅の扇子を取り出し、
「秘伝...“みだれ花ふぶき”!!」
さっと振るうと、桜吹雪が月夜の闇を舞う。ムースボーグのカメラアイは、煙幕と花びらで視界を奪われた。
「今だ!目を覚ませぇぇ、ヘラジカぁぁっ!!」
ライオンの渾身の一撃が、ヘラジカのヘルムにヒビを入れた。

やがて、ムースボーグはガクンと音を立て、動かなくなった。青白い漏電が時折見える。
「ヘラジカ...解るか?ライオンだ、お前の戦友だ...わかったら...返事してくれ...」
すると、ヘラジカは虚ろな目でその存在を見据え――
「ライ...オ...」
「!!わかってくれたのか――」
しかし。所謂“感動の再会”は、再びカンパニーによって踏みにじられてしまった。
[上位命令:直ちに帰還せよ。]
「...!!」
ヘルムに高圧電流が流れ、ヘラジカは苦しそうに頭を抱える。直後、ムースボーグはジェットパックを展開し、飛び去ってしまった。
「あっ...」
しばし沈黙の流れたあと、
「...おっつかれさんっ!」
ライオンはカービィの頭に、ばふっと手のひらをのせた。
「ぷやぅ!?」
と、ニンジャの頭巾が外れ、元のパンサーカメレオンの姿に戻った。
「あ...あれ...拙者は..?」
「なーに、なに吸い込んだか大体見当はつくって。しっかしアイツ、お前よりずっとシノビっぽかったかもね!」
「そんなぁ〜っ!」
「ふわぁ...疲れちゃったよ...はやくもどって、ねよっと...」
「明日、皆にもこの事報告しないとね!」


「うそ!?ヘラジカもキカイにされちゃってたの!?」
翌朝、ライオンたちは昨夜のことを皆に打ち明けた。
「あいつら...どんな手を使ってでも邪魔なやつを消して、サンドスターを奪うつもりでありますね!」
「ほかのフレンズの皆さん、無事ッスかね...」
「...かばん、私も君達について行かせてほしいんだ。あいつを敵から、解放してやりたい」
「ライオンさん、気持ちは分かります...でも...」
「だとしても、だ!あいつまでキカイにされるなんて...耐えきれないよ...」
「なら、ぼくらがたすける!」重ったるい空気の中、カービィの声が響いた。
「あいつらを、パークからおっぱらう!フレンズのみんなも、助けるよ!」
「...頼もしいね、カービィ!お前ならできるよ、この...うちの子たちと一緒に!」
「困ったときは、ぜひ俺っちたちも頼ってほしいッス!...できるコトはそう多くないけど」
「よーし!この三人で、パークを救うぞ〜っ!」
『おー!』
再び一行は、ロボボと共に元の旅路へと戻った。


ヲマケ
スペシャルページ vs.ムースボーグ
ライオンと幾度となく しのぎを削った
北米最強の 草食獣のフレンズ。
カンパニーによって なす術もなく捕らえられ、
サイボーグ戦士 “ムースボーグ” として
無慈悲に かつての戦友に襲いかかる。

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