EP.2-9 Encounter 9
目線がまた、かち合う。
彼女は僕をじっと見つめたまま、こう言った。
「……うん。あなた、本当に綺麗な目をしてる」
何て言い返していいか、分からない。
「いやぁ……」
「こんな綺麗な目をした人が、嘘をつくわけないもん。
だから、信じてますよ、あなたの話」
その突然の言葉に、僕の頭は真っ白になった。
キャベツに「オス」「メス」はないけれど、
その人間の「メス」を見て、僕は「オス」であろう、と決めた。
「…………あのー、もう疲れちゃったんですかー?」
「えっ?」
気がつくと、彼女は僕の数m先にいた。
「まだ、そんなに長く歩けないですよね。
人間になったばっかりだから」
「え、いや……」
「あんまり、無理しないでくださいね。
辛かったら言ってください」
彼女は、どこまでも優しかった。
でも、オスとして……男として、彼女の優しさに甘えてばかりも
いられない。
「……いえ!これくらい、大丈夫です。僕、男ですから」
「ふふっ、そうですね。でも、あと本当にもう少しですよ」
その後も、たわいもない話をしつつ、僕は彼女の家へと向かった。