悪魔と天使
地面が跡形もなく破壊されている。そこに居るのは、青髪の少女。彼女は泣いていた。彼女の周りには、人々が散らばっている。
「嫌だ、こんな力」
彼女は呟く。戦いにも関わらず、彼女に近付いた人々。彼らは、彼女に殺された。少女は泣いていた。声も出さずに。
何日たっただろうか。涙は枯れはて、立っているのもやっとのようだ。少女が座りこみ、遠くを見つめていた。遠くに人影が見える。こちらに飛んでくるようだ。やがて、少女の目の前に降り立った。
「君、一人かい?」
紅い瞳に大きな純白の翼。まさに天使のよう。彼は少女に語りかけた。
「うん」
「この人達、どうしたんだい?」
恐がらせないよう、聞いてみる。
「私が、殺しちゃったの。みんな、みぃんな」
彼女は悲しそうに言う。彼は少し考えてから言った。
「なら君、叔父さんと一緒に逃げよう?」
「逃げる???」
「そうだよ、ここに居たら危ないんだ。だから、逃げよう」
「うん、それで良いなら行くよ」
天使は翼を広げた。
「ところで、君は飛べるのかい?」
「う〜ん、やってみる!」
少女は地面を蹴った。すると服の背中が破け、コウモリのような翼が現れた。大きさは天使の翼と同じ位だ。
二人は星から飛びたった。風がこんなに気持ちいいと思ったのは久しぶりだ。
「ところで、叔父さんの名前は?」
少女はさっきからの疑問をぶつける。
「叔父さんの名前かい?」
天使が口を開く。
「私の名前は、ギャラクティックナイト」
少女は金色の瞳を見開いた。