尾行
雨のなか「それ」はニョライヅキを追っていた。
一瞬気づかれたと思ったが多分気のせいだろう。
「それにしても・・・どこまで行くんだ?」
この辺りは町が多い。自分が把握してるのはおおよそだ。
しかし・・・
「こんな所に町なんてあったか・・・?」
見落としているだけかも知れないがこんな所に村はないはずだ。
周りはいつ猛獣が出ても不思議じゃないくらい不気味だ。
こんな所に町があるなんて、とても思えない。
と、ニョライヅキが足を止めた。
それに気がつき慌てて足を止めたのだが音を出してしまった。
「・・・誰!?」
どうやら気づかれてしまったようだ。
「や、やばっ!?」
慌てて逃げようとしたがもう遅い。
逃げようと後ろを振り返ると、薙刀・・・イスズクレヅキを持ったニョライヅキが居た。
「何か気配を感じると思ったら・・・名を名乗りなさい。」
凛とした声で告げるニョライヅキ。尾行者は少し後ずさりしてからこう名乗った。
「俺の名はイゲツだ。訳あってお前についてっいってただけだ」
イゲツと名乗った少年が言う。
「尾行とは言わないのですね・・・これも何かの縁、一緒に村までいきます?」
と、さっきの態度とは打って変わって尋ねてきた。
「なぜ疑わない?俺はあんたをつき回していたんだぞ?」
イゲツは尋ねた。するとニョライヅキは言う。
「疑う?どうして?貴方はちゃんと名乗ったではありませんか?なぜ名を名乗ったものを疑わなきゃいけないのです?・・・それに、もう疑うのは嫌なんです・・・。どんな悪い人であろうと・・・」
俯きながらそういった。
なかなか面白いじゃないか。イゲツは思う。
そしてイゲツは言う。
「なかなか面白いなあんた、よし俺もついていくぜ。」
そしてイゲツは追うべき人物と行動を共にした。