1話「今日も彼らがいる世界。」
1話「今日も彼らがいる世界。」
ここはスマブラ界。
…のとある駅。
◇◆◇
「ねぇねぇマルス。」
「ん?」
キービィの方を振り向いたマルスは、いつも通りの笑みを浮かべている。
キービィはというと、なんで自分まで…という顔をしている。
「本当にここでいいの?」
「うん。スマブラ駅の64番ホーム。ここで待つんだよ。」
「そっか。」
さっきからつまらなさそうに3DSをいじっている。
「あーうー。」
諏訪子はマルスの膝の上である。マルスがさっきからウハウハしていることは言うまでもない。
ともあれ。
さっきからちらほらとしか人影もなく、彼らはぽつりと、ベンチに座っていた。
このスマブラ駅にはなんと200ものホームがある。あらゆる世界からたくさんの人が訪れるので、こんなに路線が必要なのだ。
まぁ今の時代、さすがにこの空間鉄道なんてひと昔前の交通手段を利用する人も少ないのだが…
なんで彼らがここにいるのか。
マルスはふと、昨日の会話を思い出した。
マスターハンド「マルス。君に頼みがある。」
マルス「どうしたんですか?」
マスターハンド「キービィを連れて、ある人間に会ってほしい。」
マルス「ある人間とは?」
マスターハンド「あぁ。お前の部屋にいつもいる女の子がいるだろう?」
マルス「あ、黄桃のことだね。」
マスターハンド「そいつの友人の友人だ。まぁ、この世界と同じような世界の住人だがな。」
マルス「はぁ…」
マスターハンド「で、これを渡してほしい」
マルス「?」
マスターハンド「≪世界を救う者の記憶≫という名前だ。」
マルス「この本が?…あれ?中身真っ白ですよ!」
マスターハンド「あぁ。しかし、悪いやつの手に渡るとダメなものでもある。」
マルス「つまり、これを持って他の世界に…?」
マスターハンド「そゆこと」
マルス「これって、結局何なんですか?」
マスターハンド「さあな。私にもよくわからん。よくわからんからお前に頼んだんだ」
マルス「・・・」
で、ここにいる。諏訪子はマルスが連れてきた。
「マルスー、電車は?」
「あと5分だってさ。」
ちなみに黄桃はなぜかいなかった。いつもなら「マルスと一緒!?行く行く!!」と、どこからともなく飛んでくるのに…
どうしてだろーなー…とかマルスが考えてた矢先、
どっかあん!!!!!!!
爆☆発☆音
「!?」
黄色玉が跳ね起きた。
「な、なにが…?」
マルスがあたりをキョロキョロ見回す。
「あう!」
諏訪子が上空を指さした。
「上になんかいるケロ!!」
巨大な宇宙船である。ときおりまたレーザー砲を落とす。そしてこちらへ飛んできているのだ。
「もしかして…本が目的なのかな…?」
マルスは諏訪子のほうを向いた。実はケロ帽子の中に本が隠されているのだ。
そして、ふと、キービィの方を見た。
ニヤけて、こちらを見ている。
「う…」
「どしたのマルス?こういう時は力を合わせないと!!」
キービィは笑顔だ。純粋な笑顔だ。
でもマルスはこの後自分がどうなるか知っている。
「…わかった。」
早くも折れる。
「おっけー!」
キービィは大口を開けた。
ホーリーナイトメア社製中型宇宙船に乗っていた者達は、目を見開いた。地上からものすごい速度で接近する影があるのだから。
「何があってもこの宇宙船には近付けさせるな!!あのファイルを守るためにも!」
船長の声とともに、とっさにいくつもの機銃を乱れうちする。しかし、それをもまるでどう飛んでいるかわかっているかのようにすり抜けて行くのだ。
「一体あれは…?」
メインカメラに、黄色い影が姿を現した。
「あれは…噂に聞くスマブラファイター…カービィ型?」
船員の一人が、おびえるように言った。「いや、違う。」という声がした。船長だ。
「たしかにスマブラファイターだ。ピンクの悪魔カービィの≪色違い≫だろう。…しかし、あれを見てみろ。あの青い髪を、輝く剣を。あれは……」
―――――マルスキービィ
「はあぁぁぁぁーーーーっ!!」
宇宙船との距離、100メートル。マルスキービィは光の剣…≪ファルシオン≫を掲げていた。
いつもの明るく元気!な目ではない。透き通るような王の瞳を重ね合わせたかのような色をしていた。
マルスとキービィが一体化したように。
青い光がオーラとして放たれる。
ファルシオンの輝きとともに、一瞬、剣を振り下ろす。
「―――必殺の……一撃ィィィ!!!!」
次の瞬間、≪青き英雄の黄色玉≫は船を貫通していた。
どっかああああああああああん!!!
ひらひら、1枚のクリアファイルが落ちていく…
「ふぅ…」
ふよふよと降下していくマルスキービィ。元の64番ホームに降り立った。
着地と同時に、コピー解除。マルスが飛び出した。かなり疲れた顔である。
「あーうー…?」
諏訪子の心配そうな顔を見て、「あ、大丈夫だよケロちゃん。いつものことだし。」と言った。
「つーかーれーたー!!!」
キービィがわめく。…おそらく、マルスとキービィの心が一つになって、あれほどの絶大威力を発揮するのだろう。
ともあれ、マルスキービィは唯のコピー能力ではないようだ。
「あ、そうだ。2人ともー。さっき電車来て、人がいたよー。」
諏訪子がそう言うと、柱の陰から、ひょこっと数名が顔を出した。
「「…え!?」」
2人は硬直した。
『まぁ、この世界と同じような世界の住人だがな。』………
(マスターハンドの言う通り、本当に、このスマブラ界に似た世界なんだろうなぁ。)
見たような顔も、見たことない顔も、そこにいるのだから。
マルスはようやく状況を受け入れたようで、口を開いた。いつもの優雅な王子スマイルで。
「スマブランド、かぁ…」
彼らの旅はすでに始まっているのだ。
「…カービィ、どこ行ったピカかね。」
スマブラファイターの宿舎。通称「スマ舎」の中庭。ピカチュウは一人でオレンの実をかじっていた。
「マルスは何故かどっかいっちゃったし…ん?」
ひらひら
上空から何か落ちてきた。クリアファイルだ。よく皆も使っているような…
「…ピカ?」
拾い上げた。中に、数枚の紙が入っている。普通の紙ではなさそうだ。おそらく特殊なプログラムを紙に収めているのだろう。
ピカチュウは、紙の字を、読んだ。
「≪世界を救う者の記憶・第一項≫…ピカ?」
…彼らの旅はすでに始まっているんだってば。
◇◆◇
【【一言コーナー】】
遅くなりました!1話です!タイトルからしてノーコンセプトっぷりがにじみ出てます!!(おい)
ひとまず、よくわからんものをかけてナイトメア社と戦う…どこのガンダムucやねん。的なストーリーです。
≪世界を救う者の記憶≫って何かって?自分もわかりません…みなさんで繋げていく中で、わかっていくかもです。
次回はスマブランドのみんなと、どこか行きましょうそうしましょう。しかしそこにもナイトメア社から刺客がっ!
って話になるかな?そこらへんはメタファン氏お願いねー(ぇ
それでは、つづく!!→