ニ重奏〜デュエット〜 過去編A
俺はカプセルの事を話す事は出来なかった。
信じたくなかった。
自分の心から、生まれる疑問を俺は理性で押し付けた。
しかし…
スカーフィ「…カプセルがいなくなって、今日で一週間だね。なんで、何も言わずに出て行ったんだろ…私達の事が嫌いになったのかな…」
チリー「そんな事、ありません。私が何としても見つけ出します!」
スカーフィ「なら、私も協力する!ねえ…バーニンレオも一緒に来てくれるよね?」
バーニンレオ「…ごめん。本当にごめん。(そう言って教室から出ていく)」
スカーフィ「待って!待ってよ!どうして、協力してくれないの!…これは命令。部長命令。私と…私と一緒にカプセルの行方を!」
バーニンレオ「うるせえ!黙れ!部活はやめる。だから、あんたの命令は聞く必要はない!お、お前らのやろうとしている事は無駄なんだよ!だって、だって…あいつは!死んだんだよ!!!」
チリー「お前…カプセルに何をした。何故死んだって分かる!…お前がそんな事をする奴とは思っていなかったよ」
スカーフィ「え?え?どういう事?何?何で?なんで、あなたはそんな事を…(そう言って泣き崩れる)」
そんな姿…俺に見せるなよ。俺だって辛い。だけど、お前らがどんな行動を起こしたってカプセルは戻ってくるはずないから…俺はもう、どう思われたっていい。ただ…
チリー「…私は、あなたを許さない。しかし、今の発言は聞かなかった事にする。元親友としての情けだ。ただ、何時の日か私はあなたがした事について、絶対裁いて見せる!(スカーフィを連れてどこかに行く)」
俺は、どう思われたっていいんだ。チリー、俺を犯罪者にすればそれで良い。それで、お前が満足するなら…
これは私の罰なのだ。父親に撃たれるカプセルJ2を見殺しにしたからだ。
何か出来たかもしれない。しかし、結局大事なのは自分の命だ。
俺はカプセルが事件に巻き込まれたのかもしれないのに、自分の命を犠牲にしようとするチリーと、スカーフィといる資格はない。
そして、彼らも居なくなった。理由など、考えたくもなかった。
俺の中で平和であった世界は何時の日か、何処かに消えてしまった。
この後、俺は卒業するまで、酷いいじめに遭う。今まで助けてくれる友達はいない。
平和とは、何だ?
三人の友人が居なくなっても、学校には日常が続いていた。変わったのは、私のこの世界、この国、プププランドの価値観だ。
明らかに不自然な二人の学生の失踪事件を、家出と判断し警察は動かない。ふざけやがって…
さらに、家族失踪事件の方は、本当に転校と言う事で済まされている。
平和は大切だ。だが、その為に平和なプププランドであってはならない所は隠してしまうのは果たして平和と言うのだろうか。
だが、私は声を出しては言えない。言える訳ないだろ。
いじめの報告を先生に言えない奴が…言える訳ない。
そして、私が望んでいた日常を手に入れた。
私は、卒業後就職した。
当たり障りのない毎日を、パソコンの前で過ごしている…
私は、ふと思うのだ。
私が求めていたのは、こんな物かと…
ニ重奏〜デュエット〜 過去編 完
現在編へ続く…