EP.1-1 Trigger 1
―――――――僕、キャベツに戻らなきゃ。
寒い寒い、冬の日のことだった。
何をするでもなく、空を眺める。
いつもの畑。いつもの景色。いつもの人たち。
何にも変わらない。
ただ、時間と雲だけが、虚しく流れていく。
……僕もいつかは、この世から消えてなくなってしまう。
それがどんな形かまでは、分からないけれど。
どうせ死ぬのなら、せめて誰か、誰でもいいから、
人間に食べられて、命を全うしたい。
ポリ袋に詰められてトラックに入れられて、
ゴミ箱に入れられて燃やされるのだけは、ごめんだ。
農家のおじさんは、僕や仲間を愛おしそうに見ては、
水や肥料をくれたりするけれど、
いつこの畑から連れて行かれるのかと思うと、
信用ならない。
人間は僕らを何だと思ってるんだろう?