第二話
鈍い音がした。
自分の口、鼻から赤い液体が垂れ流れる。
どうやら、また負けてしまったらしい。
「痛えぇ・・・・」
意味も無く呟いてみる。
目が覚めたら、そこには見知らぬという訳では無いけど、どちらかといえば見知らぬ天井が広がっていた。このシチュエーションは某ロボットアニメを思いださせる。
・・・結局負けたのか
星野は病室のテレビをつける。
六月三日火曜日。日付が変わっている。
どうやら丸一日気絶していたらしい。まあ、こんぐらいよくあることだ。気にする程度ではない。
テレビでやっているニュースも、昨日の怪人とは全くの無関係。有名歌手が逮捕?知るか。
「あっ!気がついたんですか!良かった〜」
病室に看護婦が入っている。いつもの人だ。
どうやら、この病院はいつもお世話になっているYOSHI中央病院らしい。その瞬間、謎の安心感に包まれる。後の退院手続きが楽で済む。
結局、退院手続きは三分で済んだ。今まで十回位入院していたのだ。当然のことだ。
星野は病院を出た。眩しい日差しに一瞬目が眩む。
「家帰るかぁ・・・」
星野は停車していたバスに乗り込む。家までここから徒歩1時間掛かる。さすがに歩くのは面倒臭い。
バスが出発する。
ーその刹那、星野は重大な事実に気がついた。
・・・財布家だ。