第2話「偽善者の目」
あの爆発から数年ぐらいだったかな。
俺のところに1人の人工衛星がきた。
「よぅ、お前が黒莨か?」
「・・・誰だお前。見たところここのもんじゃねーだろ」
「ありゃりゃ、さすがだね、その琥珀の目。」
「・・・なんのことだ?」
「隠さなくてもわかるんですよ、その眼帯の下に隠してる目は。」
「ほぅ、まるでこの星の住民1人を集中観察したぐらいにわかるじゃんか。」
「そこまで分かりますか。お見事ですよ。」
なんだ、こいつは?
気楽な性格をしているが、こりゃ偽りの性格だな。
こんな気楽に話してくるのが初対面で現れりゃ、皆驚くだろうな。
「アンタ、見たところ本当の性格隠してるだろう?」
「おや、何のことで?」
「分かるんだよ。この琥珀の目のせいでな。いい加減本当の性格で話な。」
「・・・よくわかったな、それでこそ琥珀の目を持つ「穢(けがれ)」なる存在が。」
「・・・穢?」
「おや、知らねぇのかい?琥珀の目を持つものは、基本「穢」と呼ばれるんだぜ?」
「どういうことだ?この数年の間に何があったんだ?説明しやがれ。」
「いいだろう、穢とは・・・」
穢とは、本来は「汚れ」という意味だが、偉い人曰く、
「それでは称号としてアレだ。穢にしよう」
ということになった。字が変わっただけで意味は変わらないぞ。ただし読みのね。
んでまぁ、琥珀の目を持ってる奴は基本「穢」と呼ばれるようになり、
この国では嫌われるんだよ。そして遠い遠い星へでていくのがオチさ。
まぁ少なくとも、アンタみたいに眼帯で隠してるやつは「穢」とはわからない。
だけどつい最近琥珀の目を持つやつの中で隠していたやつは自主して、その場で遠い遠い星に逃げたんだとか。
それで今残っている「穢」はアンタだけ。だけど皆はお前の存在など知らず、
「穢」を全員追い出したとぬか喜びしてる。
もう少し精密に検査できないのかね?
「・・・ということだ。」
「成程な。それで俺だけが琥珀の目を持っていると?」
「そんな感じだ。勿論俺は人工衛星。この星を含めた数百個の星のデータは全て知っている。」
・・・たとえそれが星に住んでる1人の球体であろうともな。
「成程ねぇ。それでお前はそのデータってやつで俺が琥珀の目を持っていることを確認したと?」
「そういうことだな。だからお前も自主して遠い星へ逃げればいいぜ?」
「そうだな、できれば遠い星へいきたいところだ。」
「そうか、ならば__」
「だけど俺はこの星からは出たくても出れねぇんだなこれが。」
「・・・ハァ?」
そう、俺は「琥珀の目」を持っている。
遠い星へ逃げたところで眼帯を外しちゃえば琥珀の目を見せちゃって
俺以外全滅ってのがオチだ。それなら眼帯を外さなければいい?
そういう問題じゃねーんだよ。俺は人生をずっとこの星で過ごしている。
だから出たくても出たくないんだよ。
「俺の本能がな・・・。」
「そうかい、ならば力ずくでも___」
その時、後ろで大爆発が起きた。
それもあの時と同じぐらいの大爆発が___
「・・・いったいなんだ!?」
「『HR-Explorer』だ!!あの工場にある機械をそのままそっくりに作り上げ、爆発中心として作られた機械・・・!」
だが、あまりの爆発の威力により、住民からの苦情殺到・・・
しかもその時に工場にあったスイッチを押してしまったのがいけなかったのか、
HR-Explorerが暴走。見事に人口8割を殺した機械・・・
「通称『雪の国の殺人兵器』だ。急いで止めなければ・・・!」
「・・・・・・」
てことは、あの大爆発は俺のせいではないということなのか?
じゃあなんで俺だけは大爆発で防げたんだ?
もしかして琥珀の目は・・・
「・・・いや、まさかな。」
俺も急いで大爆発がした方向へ向かった。
琥珀の目とは一体どういう存在なんだ?
そしてあの人工衛星は一体何者なんだ?
・・・謎が多くなるばかりだ。