お客様
カランカランと鳴るベル。これは誰かがドアを開けたということ。
ドアから入ってきた風はとても心地よくて私を呼び起こした。
そこからコツコツと高い音がこちらの方へ向かってくる。そして私の目の前にドシッと荒々しい音を立て椅子に座る。私はいつもの言葉で目の前にいる人に話しかけた。
シロカ「いらっしゃい。後注文は?」
このカウンターに座った人だけ限定の言葉。私はあまり喋らない方だから。
「………俺はここの店に用がある。」
赤い瞳の男は少しイラついた声で私に語った。私の店にもこんなやついたなぁと思いながら冷たい水をガラスのコップに注ぎ出した。
シロカ「このお店に何か用?」
コップを男の人に差し出し、椅子に置いていあった新聞を手に取って読み始めた。
「…エベリウンド遺跡にある呪箱。」
真剣な眼差しがこちらを睨んでくる。手にはさっき渡したコップを鷲掴に握っている。
シロカ「それを知ってどうする?」
「決まっているじゃないか!!復習だ!!俺の大事な翼を引き抜いた奴らに復習だ!!」
ふぅん。と適当に話に区切りをつけた。
するとパリーンっと綺麗な音が聞こえた。そちらの方を目でチラッと見ると
ギラギラとした鋭い眼差しがこちらに睨み付けていた。手にはほんの少し血がついていた。もちろん水も溢れていた。
「ちょっと店の物を壊さないで頂戴?拭くのも少し大変だーーー」
「ふざけんじゃねぇ!!なにがふぅんだ!俺の話をちゃんと聞け!なめてんのか!!」
男の人の怒鳴り声はお店の隅までギンギンと鳴り響いた。