ナマエ・・・
「…えーと、いろいろ調べたけど、やっぱり記憶喪失みたい。いつ戻るかは…わからない。」
チエリさんがそういう。
「…そうですか。」
しばしの沈黙。
「ねぇ、君、名前決めない?」
名前…
「そういえばなかったですね…」
うーん…と考え出す。だが僕はふと気付く。
「…あの、なんで僕なんかのためにそこまで…?」
すると女の子が笑ってこういう。
「え?あたりまえじゃないの?困っている人を見逃すわけにはいかないよ^^」
僕の中で、なにかが動いた様な気がした…。なんだろう…と考える。
「あ!!!」
いきなり女の子が叫ぶ。
「え、な、なんですか…」
「いやいや、君が住む家ないじゃん!」
あ…そういえばなんかいろいろあったから忘れていた…。
「なにいっているの?ここに住んでもらえばいいじゃない?」
そういったのはチエリさんだった。
「え…と、いいんですか??」
「「もちろん!」」
神様、僕、このままでもいいかもしれないです…
「お。」
今度はチエリさんだった。
「えと、なんでしょう?」
「ヴィーナ、あなた自分の名前教えた?」
…ヴィーナ?
「あ、そっかぁ。な〜んか忘れてた☆」
…軽っ。
いや、それより・・・
「私はね、ヴィーナっていうんだ!これからよろしくね!」
…ヴィーナさんとチエリさん…か。
「あ、はい。…よろしく…です。」
二人が笑う。ああ。暖かいな…。
「お。」
またもチエリさん。
「こ、こんどは何事ですか…。」
「あ、名前、これならどうかなーって。」
そうして紙に書く。
“カッチェ”
「おぉ。いいジャン!…でもさ、カッチェって何よ?」
「ん?カッチェっていうのは、ドイツ語で、『猫』って意味よ。なんかみため猫っぽいからw」
…単純…でも。
「カッチェ…か。うん。いいね…。」
僕も気に入った…。
にっこり笑ってもう一度二人が言う。
「「よろしくね!“カッチェ”!」」
こうして、僕の名前はカッチェになった。
「そういえばさ、カッチェのもってるその鞄にはなにがはいってるの?」
ヴィーナさんのこの一言で、僕はヒトツ、オモイダス。
『コレハナニ?』
これは君が________
ときに役立つと思うよ。
『______ノトキ?』
そう。だからそれまではあけないでね、_______________。
「…ウァ。ウ・・・ぐぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!」