出会い。
そして次の日。僕は学校へ通った。
早速、僕は後ろの席の友達「深川 良助」と喋る。
「栄治、ベトナム旅行はよかったか?」
「それが、散々だったよ。」
「なんで?」
「だって、ベトナムは蒸し暑かったし、町の人は冷たいし、変なゲームを買ってしまったし。」
「変なゲーム?なんだい?それは?」
「それはね、99999999個のゲームが入っているゲームなんだけど、内容はつまらないし、99999999個のゲームなんか入っていなかった。」
「へぇー。」
「だから良助、旅行先でああいうゲームソフトは絶対買わないほうがいいよ。」
「あぁ。そうするよ。」
その時、僕は後ろから視線を感じたので、振り向いた。
そこには、「秋山 菊子」がこっちを見ていた。
彼女は学級委員長。かなりの美人で、成績も優秀だが、性格は無口で厳しく、授業中(とくに自習時間)にだれかが喋ったり、ケータイをいじっていたりすると、鋭い口調で注意する。その厳しく、無口な性格のせいか、彼女には友達はいないらしい。
そんな彼女が、僕を見ていた。それも不機嫌そうな顔で。
(僕、なんか悪い事したかなぁ・・・。)
そう思いながら、委員長を見ると、委員長はあわてて視線をそらした。
「ん?どうしたんだ?栄治。」
「いや、なんでもないよ。」
放課後、僕は部活には入っていないので、そのまま帰ろうとした。
靴箱から靴を取り出そうと思ったら、靴箱には、手紙らしきものが入っていた。
悪戯だろうか。それともラブレター?いや、それは絶対にない。
僕は、手紙を読んでみた。
手紙にはこう書かれていた。
「図書館に来て。
菊子より」
「菊子・・・?」
僕は、唖然としていた。僕は、委員長になにか悪い事でもしたのかなぁと思った。
彼女は性格が厳しいので、無視したら怒られる、と思い、僕は図書館へ向かう。
僕らの学校の図書館は、結構広い。
本も、図鑑や百科事典からファンタジー小説まで、中にはライトノベルもある。
そんな図書館の読書用のテーブルに、委員長の菊子が本を読みながら座っていた。僕は恐る恐る、委員長に話しかける。
「あの・・・、委員長・・・?」
「・・・なに?」
委員長は本を閉じ、僕を見た。
「・・・あなたが、『9999999個入っているゲーム』について友達と話していた人?」
「はい・・・。そうです・・・。」
もしかして、それについて怒っているのかなぁと思った。
しかし、委員長は、
「ちょっと、私の家に来て。」
といった。
「え・・・?」
僕はまた唖然とした。だって突然、「私の家に来て」といわれたのだから。
そもそも、僕は委員長の家は分からない。
「でも・・・、僕は委員長の家が・・・、」
「これ、あげるから、5時に私の家に来て。」
僕は委員長に、1つの紙切れを渡された。
それは、委員長の家までの地図だった。結構分かりやすい。
その地図を見ていたら、いつの間にか、彼女が図書館からいなくなっていた。
5時、僕は委員長の家の前にいる。
委員長の家は、最近出来たばかりの新しい家だ。
「地図によると、委員長の家はこの家で間違いないな。」
僕は、インターホンを鳴らす。
ピンポーン
ガチャ。
扉が開いた。出てきたのは委員長だ。
委員長は「入って」といって、僕を家のなかに入れた。
僕は委員長の部屋に案内された。
そこで、僕は驚きの光景を目にする。
なんと、委員長の部屋には、勉強机、ベット以外に、テレビに、沢山のゲーム機、そして、それのソフトがあった。
僕は以外だった。成績優秀の委員長のことだから、ゲームなんかとは無縁と思っていたからだ。
委員長は、僕に1つのファ●コンソフトを差し出した。
それは、僕がベトナムで買ったゲームソフトに似ていた。
「99999999999in1」という名前だった。
「い・・・委員長もそのゲーム持ってたんだ。」
「そうよ。」
「じゃあ、委員長も被害者?」
「被害者?」
「そのゲームを買って後悔した人だよ。」
「私は、別に後悔なんかしていないわ。だって私は、こんなゲームを集めているの。」
「え・・・?」
僕はその言葉を聞いて、唖然とした。
すると、委員長は、「これを見て」といい、ファ●コンソフトが沢山入ったケースを見せた。
「ひとつとってみて。」
委員長がそういったので、僕はケースに入っているファ●コンソフトをひとつ取ってみた。すると、これも僕がベトナムで買ったゲームソフトにソックリだった。
名前は「45in1」。ラベルにはマ●オやボン●ーマンやアラ●ンのキャラクターのイラストが多数載っていた。
「すごいでしょ?これを入手するのに、2万円も出したのよ。」
「に・・・2万円!?」
僕は驚いた。普通、ファミコンソフトは、1000円以下の値段で売っている。しかし、このソフトは2万円!僕には考えられない値段だ。
「だって、このゲームはすばらしいパチモノゲームが45個の内、3個も入っているのよ。」
「パ・・・パチモノゲーム・・・?」
ゲームに詳しい僕でも、初めて聞いた言葉だ。
「「パチモノゲーム」というのは、ゲームハードを作っているメーカーから、許可を取らずにこっそり作られたゲーム。いわゆる偽者ゲームね。主に東南アジアなどで売られているわ。」
・・・ここまで喋る委員長は生まれて初めてみた。いつも無口だからこんな委員長がすごく珍しい。
委員長は喋り続ける。
「90年代。日本ではプレ●ステーションやセガ●ターンやニン●ンドウ64がブームになっているころ、東南アジアでは、こんなパチモノゲームが多数出回っていたの。たとえばコレは有名じゃないかしら。」
彼女はカセットが入ったケースから、ひとつのカセットを取り出した。そのカセットのラベルには「SOMARI」と書かれていた。
「やってみる・・・?」
僕は、なんだかやってみたくなった。それがどんなゲームなのかを見てみたいからだ。
早速遊んでみたものの、その「SOMARI」というゲームはあんまり出来がよくなかった。内容は、主人公は「マ●オ」、ゲームシステムは「ソ●ック」といった感じ。しかし、操作性が悪く、ジャンプの制御はききずらいし、敵の配置もイジワルで、1ステージをクリアするのがやっとだった。
「私は好きよ。このゲーム。」
こんなゲームのどこが好きなんだ、と言いたかったが委員長は話を続ける。
「操作性やシステムはソ●ックと一緒だし、ファ●コンなのに、高速スクロールもきちんと再現されているわ。また、「マ●オがソ●ックの世界に殴りこみに来た」と考えれば、とても面白いわ。だって、これが発売された時は、任●堂とセ●は結構仲が悪かった時代だったから。」
う〜ん、イマイチ僕にはこのゲームのよさが理解出来ないなぁ。
すると、委員長は
「だったらこれはどう?」
と言い、僕にまたひとつのファ●コンカセットを見せた。
それは、スト●ートフ●イターUだった。
スト●ートフ●イターUは、ファ●コンには移植されていないはず・・・。
「もしかして、これもパチモノゲームってやつ?」
「そうよ。」
そういえば、本家でも、スト●ートフ●イターはファミコンにあったけど、あれは別物なんだよな・・・。
「このゲームはちゃんと対戦型格闘ゲームよ。「正規品には出来ないのに、パチモノでは出来る」というのがパチモノゲームの魅力よ。」
「へぇ・・・。」
世の中にはこんなゲームを作るすごい人もいるんだな、と思った。でもメーカーに無許可で発売するのは良くないな・・・。
「ねぇ・・・、貴方はファ●コン持ってる?」
委員長が尋ねた。
「持ってるよ。」
「じゃあ、このゲーム、貸してあげる。」
「え・・・?」
僕は唖然とした。
「いいから借りてプレイしてみて。騙されたと思って。」
「・・・うん。」
僕は、委員長からファ●コン版のスト●ートフ●イターUを借りた。
そして、そろそろ帰らなきゃいけないので、僕は委員長の家から出た。
「明日も来てくれる・・・?」
出るときに、委員長が尋ねた。
僕は「予定がなければ来るよ」と答えた。
今日は委員長から借りたゲームをプレイしてみよう。
どんな内容なんだろうなぁ。
それにしても、あの委員長があんなゲームが好きだったなんて・・・。
以外だ。
続く