EP.2-8 Encounter 8
「いいですよそんなの、申し訳ないです」
一人暮らしの女性の家に転がり込むなんて……
僕には、出来ない。
「大丈夫ですよ!男ものの服なんかも、結構まだ残ってますし」
「でも……」
「いいから!寒いし、風邪ひいちゃいますよ」
半ば無理やりではあったが、彼女の家へ行くことになった。
彼女の隣に並んで、家へ向かって歩き始めた。
一歩一歩歩くたび、歌声を聞いたときに感じた、
あのドキドキが強くなっていく。
「あの……僕の話、疑ってないんですか?」
普通の人間なら、私は本当はキャベツです、なんて言ったら、
絶対疑うに違いない。
でも、彼女は、全く疑う様子もなかった。
「何を疑うことがあるんですか?」
「だって……普通、信じられるわけないですよ。
キャベツが人間になるだなんて」
「……あなた、目がすごく綺麗だから」
「え?」
彼女は突然、立ち止まった。