第17話 学級委員の授業
前回、班やら掃除区域やらをわちゃわちゃしながらも決め終わったのだが、クラッコ先生のある一言で教室は静まり返った。
クラッコ「学級委員を決める。」
___あたりが静まり返った。
学級委員。現実の世界だとそんなに率先してやりたがる人はあまり見ない。だって面倒そうだし。
しかし、このエネミー科1年1組には自己顕示欲の塊みたいなのが数名いるがために、学級委員という立場は戦争を起こしかねないレベルの重要度を持つ。
面倒くささなどどうでもいい。ただ自分の自尊心を満たしたいがために学級委員になるのだ。
___とまあ、ごちゃごちゃ言ったが、要するに「俺は偉いんだゾ!」って感じになりたい奴が何人かいるから、学級委員の座はここでは人気があるんだよー、ってことである。
一応言っておくが、別に学級委員の座自体はそんなに偉いわけではない。特にこれといった権限が与えられるわけでもないのでここで学級委員の座を取り合う彼らは虚栄心を取り合うまあまあの馬鹿と思ってくれればよい。
まあ、馬鹿なのはこれまでの話で聡明な読者のみなさんは分かってはいるんでしょうけども。
・・・話を戻そう。学級委員を決めることになったところぐらいまで戻そう。
そして、そんな張り詰めた空気をぶち破ったのはこの一言であった。
キャピィ「せんせー!『がっきゅーいーん』って何ですか!?」
その周囲の雰囲気とキャピィの質問内容の温度差に数名ズッコケた。
バグジー「お、お前、マジで言ってんのか?」
NZ「世間知らずにもほどがあるだろ・・・。」
バウンシー「ダークゼロとかペイロー辺りの馬鹿でも知ってるのに・・・。」
ペイロー「そうだぞ。俺レベルの馬鹿でもわかることを・・・あれ?俺って馬鹿なの?」
ダークゼロ「ふははは!!ホントに愚かよのぅ!!!」
ワドルドゥ「ついでに聞きますが、ペイローさんとダークゼロさんは本当にわかっているのですか?」
ペイロー「え?学級委員ってあれだろ?なると評定が無条件で上がるっていう伝説のジョブだろ?」
クラッコ「上げねーよ。頑張り次第では上げるかもしんねーが。」
ダークゼロ「そう!学級委員とは!!
三千世界を司るこの世の絶対的な支配者d」
NZ「お前は1回頭を冷やして来い。」
クラッコ「・・・このクラスに馬鹿が3人いたことが分かったところで、」
ハルディ「先生、正確には6人です!僕とマルクとバグジー数え忘れてます!」
バグジー「おい俺を巻き込むなぁ!!」
マルク「ボクは馬鹿じゃないのサ!ただ単に頭がアレなだけなのサ!!」
ワドルディ「それを一般的にはバカと呼ぶんスよ。」
クラッコ「んで、ハルディお前自分もちゃんとカウントするあたり自覚あるんだな。
それはともかく、学級委員を決めるぞ。やりたい奴は名乗り出ろ。」
ペイロー「やります!!!」
マルク「僕が支配してアゲルのサ!!」
ダークゼロ「混沌の支配者たる俺様がその座にはふさわしい!!」
キャピィ「よくわかんないけどやりたーい」
ワドルディ「オイラもザコからボスへとスピード出世ッス!!!」
NZ「ワドルドゥがやりたいって言ってます。」
ワドルドゥ「えっ」
クラッコ「・・・あー、なんだ。つまりやりたい奴はペイロー、マルク、ダークゼロ、キャピィ、ワドルディ、NZ、ワドルドゥの7人か。多いなおい。」
NZ「俺はやりたいとは言ってねーんだけど。」
ワドルドゥ「自分も言ってはないんですが・・・。」
NZ「よく考えろ、お前が名乗り出なかったらあの馬鹿どものうちの誰かで決定しちまうんだぞ。
それでもいいのか?」
ワドルドゥ「まぁ、それはそうですけど・・・。
もっと他にもいるじゃないですか苦労人な常識人枠は。」
ユーフォー「たとえば?」
ワドルドゥ「バグジーさんとかバグジーさんとかバグジーさんとか・・・バグジーさんとか?」
バグジー「おいお前今まで俺のことそんな認識だったのかよ!?」
クラッコ「いやまあ、このクラスの共通認識ではあるよな。
・・・本人には非常に申し訳ないが。」
バグジー「先生もそう思ってんのかよ!?
っていうか先生も苦労人な常識人枠だろ!?」
クラッコ「その通りだ。苦労人な常識人で何が悪い。」
バグジー「いや悪いとは言ってないんすけどねぇ・・・。」
クラッコ「とりあえず、今名乗り出た7人は、みんなの前で意気込みを発表してもらい、残りの5人がそれを聞いて投票するという仕組みで行こうと思う。
・・・5人は少ないな・・・。」
ハルディ「そう言うと思って、オーディエンスを集めてきましたよ。」
クラッコ「オーディエンスって何だよ。」
ハルディ「今から行う意気込み発表をライブ動画で生配信します。」
クラッコ「おいちょっと待て。」
ハルディ「そんで視聴者の人に投票してもらおう。」
ユーフォー「でもその人達このクラスには無関係なのでは?」
ハルディ「案ずるな。僕のチャンネルの登録者は1万人を超えてるから人はちゃんと集まる。」
バグジー「いや、そう言う問題じゃねーんだよ。
クラスに無関係な奴を投票させたらダメだろ、って話だよ。」
ハルディ「いや、関係あるぞ。僕のチャンネルではこのクラスの様子をよく動画にして投稿しているから、割と興味を持ってくれてる人は多いから、さほど無関係じゃないぞ。」
ワドルドゥ「いや、それでもだめでしょう・・・。」
NZ「プライバシーもクソもねぇなおい。」
クラッコ「・・・まぁ、今回は特別にそれで良しとしよう。
ただし、基本的には残りの5人の生徒の中で一番票数の多かった人が当選だからな。
もしも票がばらけてしまって決着がつかない場合のみ、そのオーディエンスとやらの投票結果を使うものとする。
それでいいな?」
ユーフォー「まぁ、いいんじゃないですか?」
ワドルドゥ「何か部外者が入ってるのが何か違和感しかないですけど、まあ、仕方ないんですかねぇ?
というか自分はもうこれ立候補したことになっちゃってるんですか?」
NZ「俺も嫌なんだけど立候補するの。」
クラッコ「まとも枠が欲しいんだよ。お前ら2人が抜けると候補者が馬鹿しかいなくなる。」
ペイロー「うっわ、ホントだ。候補者馬鹿ばっかだな。」
バグジー「それ以前にこのクラスが馬鹿ばっかだよ。俺が言えたことではないんだろうけど。」
クラッコ「よし、じゃあさっさと始めるか。
それとハルディは今日の放課後残っておけよ。お前のそのチャンネルについてじっくりと話し合いたいことがある。」
ハルディ「それtmittorのDMじゃダメですか?」
クラッコ「ダメだ。残っとけ。」
ハルディ「先生のアカウントは既にフォローしてありますよ。IDが@KuraKuraKoKKonの奴ですよね?アカウント名は『雲のクラクラっ子』で」
クラッコ「何で垢バレしてるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
先生の悲痛な叫びとともに、意気込み発表は幕を開けたのであった。