はるかぜ
あかねと流星は遊園地を飛び回って、色んなものに乗った。
いつのまにか、お昼の時間になっていた。
「楽しかったね。一旦お昼ご飯で休憩しようか!」
あかねは流星にそう呼び掛けた。
「うん!」
あかねは、背負っていたリュックから大きなおにぎりを2つ出した。
「ありがとう!」
流星は言った。
おにぎりは、あかねが急いで作ったようで、ちょっと不格好だったが、雪降る遊園地で2人で一緒に食べるととても美味しかった。
午後も約束の2時まで遊び、遊園地のゲートの前で別れた。
「また遊ぼうね〜」
「うん、楽しみにしてるよ!」
あれからどれぐらい経ったのだろう。
あかねは帰宅して、カレンダーを見ると、2月後半になっていた。
「あぁ、いつの間にかもう3月が来るのか」
あかねは呟いた。
2月の半ばに大雪が降ったが、その雪も跡形もなく溶け切っていた。
何故だか寂しさを感じながら、あかねはベランダの窓を外を覗いてみると、あることに気づいた。
「あ!梅の花が咲いてる!」
思わず叫んだ。
咲いていると言っても、満開では無いのだが確かに咲いていた。
ベランダに出てみた。
すると、南の方から暖かい風が吹いてきた。
はるかぜだ。
「あぁ、もう春が来てるんだね。」
あかねは、空を見上げてみた。
綺麗な夕焼け空だ。
でも、1月と比べると太陽の位置が少し上で、日が伸びた気がする。
もうすぐ3月だ。
春の訪れを感じたあかねは、夕焼け空をバックに、ニコッと笑った。