第16話 明かしてはいけなかった本当の真実
「「……………………………………」」
本当に知ってはいけなかった真実が、メタナイトを苦しむことになってしまった。罪悪感を感じたメタはどうしたらいいのかと考え込む。
「…っ…はぁ…はぁっ……はぁ…」
過去のことについて知ってしまった彼は頭を抑えたような痛みがまだ続いている。メタが話してしまった過去で何かが脳裏に浮かんでいた。
「でも、まだ本当の真実を教えてないから…」
「本当の真実…何だそれ」
「教えるよ…お兄ちゃんに聞こえない程度で…」ボソッ
*
「これは、ボクが犯してしまった話なんだ…」
『エリー待ってよー!』
『あはははは♪ 捕まえてみなさい!』
2人は楽しそうに鬼ごっこをしていた。メタが鬼で、ひたすら追いかけ回っている。でも、捕まえられない。逆にするとすぐに捕まる。本当に駄目だった。
『…………』
無力なメタにとってはエリーが羨ましかった。何かを見たものを再現できる彼女とは別だった。
*
『あっ…そろそろ帰らなくちゃ』
『…そうだね…もう帰らないと怒られちゃう……』
エリーとメタは手を振って自分たちの家へと帰る。
『エリーは、才能の素質があるから…魔法使いになれるよ。でも、ボクは…剣士になれるわけなんて…ないんだ……』ボソッ
メタは、エリーの才能に嫉妬していた。彼はエリーから何回も何回も助けられていた。お互い、実力がないというのにエリーは何回も庇い、そして敵を倒せるような潜在能力を持っていた。
『ボクは…ボクは……』
『チカラが…欲しい。誰にも負けないくらいの…強さが…』
__その願い、叶えてやろう
『…っ!?』
メタは、いきなり声が聞こえてきた。聞こえるのはメタ以外、誰もいない。
__お前は、チカラが欲しいと言ったな?
『ボクは…チカラがほしい…誰にも負けないくらいの…チカラが!』
__お前がそう言うのなら少しだけ分け与えてやろう
メタは誰かから、チカラを授かったが…そのチカラは強大すぎて、抵抗していた。
『うぐっ!? な、何……これ…。ボク…が……求めて…たのは……こんなん…じゃな…い…!!』
__何を言っている。貴様が望んでたのはそれだ
『確かに…そう……だけど…でも、これ…は…違う……! こ…れじゃ…自分が…自分じゃ…なくな…る……』
メタの意識が少しずつ…少しずつ…薄れていく……。今の彼を止められる人は誰もいなかった…。
『あっ……』ドサリ
__フフ…これで計画通りになった
彼がいなくなる頃、メタは意識をなくしていた…。
*
「それから…ボクは、エリーのお母さんに死の呪いをかけたんだ…」
「…………」ゾクッ
「でも、したのはボクじゃない…ボクを操った誰かがしたんだ…」
メタは、弱々しく言った。
「それで確か…エリーが花を取りに行ったんだな」
「そう。でも、エリーが家に帰っていた頃にはエリーのお母さんは………」
「死んだのか…」
メタが暗い顔でコクリと頷いた。
「それでエリーがテレパシーで恨み続けてきたんだよ…」
「恐ろしいな…というよりも、まさか…」
「まさかかもしれないけど…エリーもきっと………」
「うあああああぁっ!」
メタとダメタが会話をしていたとき、メタナイトがさっきよりも苦しそうな声をあげていた。
「!! まさか…あいつ……!」
「何だか、嫌な予感がする…!!」
2人は急いでメタナイトのところへと駆けて行く。
「ぐうっ……私は…私はっ…!!!」
「…もしかしなくても……ボクが話しちゃいけなかった真実を、とっさに思い出して…!? と、止めないと!」
メタは彼を止めようと前に出るが……
「ぐあぁっ!!! 来るなっ、来るな来るな来るな来るな来るなクルナクルナクルナクルナアアァァァァ!!!!!!」
「うわぁっ!!!!」
「くっ! あの威力…あのときと同じだ……!!」
2人は彼の能力によって弾き飛ばされた。
「速く止めないと、あいつの命が…!!」
「そんな…っ。今度こそ死ぬの…? エリーに助けられたのが無駄になるの…?」
メタナイトは苦しみ、そして堕ちる…。今の彼は何も聞こうとしない…いや、誰の声も聞こえない…届かない…。