第16話 限界に向かって突き進め 中編
「何故だ……何故、貴様はくたばらんのだ!!」
「私には、共に戦う仲間がいる。仲間がいるから私は、更なる上へと目指せる!」
この発言にダメタは「意味が分からん! それなら、私にも仲間がいるというのに!!!」と否定をし、メタナイトを斬りつけようとした。
「そなたは、利用されているだけだ。」
彼はかわしながら冷静に答えていた。
「利用されてる…だと? ふざけるな、私にはちゃんと仲間がいる!」
「なら、何故シャドーがいないのか?」
「!! 黙れッ!!!!!!!」
ダークメタナイトは怒りで我を忘れている。しかも、瞳は血のように赤く、光を失っていた。一気に攻めたとき、メタナイトは吹き飛ばされていた。
「くっ!」
「メ、メタ!!」
「カービィ! これはメタナイトの真剣勝負でゲス! 邪魔したらダメでゲスよ。」
エスカルゴンの一言でカービィはハッとし「……分かったよ…」と呟き、ソッと見守ることにした。でも、焦りは消えなかった。
「これは…やばいことになるゾイ;」
デデデがビビるだけで現状はやばそうだ。ダメタから漆黒のオーラもまとっていたからだ。
「………」
「ワドルディ?」
みんなが焦る中、バンダナワドルディだけ落ち着いていた。
「ボクたちは…メタナイト様を信じましょう…。今は、それしかないです…」
「…そうだね! メタを信じよう!」
一方…メタナイトは、警戒をしていた。そんなとき、彼は変な感覚を感じた。いきなり何かに飲み込まれたような感覚だった。そこは、彼の精神世界だった……。
「メタナイト…」
聞き覚えのある声が彼に声を掛ける…それは、もう1人の彼だった。
「…!! な、何故そなたが…」
警戒しかけるメタナイトだが襲ってくる気配はなかった。
「警戒しないでくれ。私はただ……力を貸そうと…」
ダークメタナイトの意外な発言にメタナイトはやはり警戒をする。
「それは、本当なのか?」
「あぁ。それに力を貸す理由は貴様に頼みがあるからだ」
「頼み…?」
「シャドーが連れ去られた」
「…!?」
シャドーというのは、シャドーカービィのことであり、カービィの邪悪な存在である。カービィより強い彼が何故、連れ去られたのだろうか。
「何があったかは分からないが…そういうことなら……助けよう…」
「すまない…。では、闇を少し分けてやる。苦しいかもしれないが、我慢をしてくれ。これで、新たなチカラを手にできるからな……」
「…その前に。何故、そなたは…私にこんなことを…」
邪悪なメタナイト=ダークメタナイトが何故、手を差し伸べるのか、それは、あのときのダークメタナイトは本来のダークメタナイトではなかったからだ。
「……と言ったとこだ。そろそろやるが…準備はいいか?」
「あ、あぁ…」
ダークメタナイトが闇のチカラを解き放った。
「はぁっ!」
「ぐうっ……!!」
__ねぇ…ボク呑まれるの?
「…!! これは…過去の私……!!」
意外な発言を聞いただろうか。今さっきの声はなんと昔の彼だと。何故、そんなことが今、こんな状況に影響をもたらしたのか……それは彼の過去のことが影響を及ぼしているだろう。そんな中メタナイトは彼の言葉を耳に澄ましながら耐え続けた。
力を取り込み終えると過去の彼の声は消えた。
「これで…新たな力に…目覚めたはずだ…。後は…使いこなせるか次第だ…。頼んだ…ぞ…………」
ダークメタナイトの声は薄々と消えていった。そして、精神世界じゃなく、元の世界に戻ってきた。