第13話:でべろっぷでゅーんず
「それじゃあ...また、いつかね!」
「ええ。きっと、パークの自然を...取り戻してね。応援してるわ」
下山したカービィは、トキに手を振り、二人をトレーラーに乗せた。
「二人がおきるまえに、タイヤを探してこようかな!」カービィは電柱の森の奥へ、一人で駆けていく。
「んぅ...?何があったんだろ...」それから二人はすぐに目を覚ました。
「たしか、変なすごく大きな音がして...」
「あいつらの罠だったのかな?ひどいや!」
「...あれ!?僕たちなんでトレーラーの中にいるの?」
ぽにょぽにょと足音が聞こえる。カービィがタイヤを3、4個抱えて、戻ってきたのだ。
「あ、起きてたんだ!」
「やっぱり、カービィが助けてくれたのかな!」幸い、あの騒音の元が仲良しのピンク玉であるとは、二人は夢にも思っていないようだ。
「ぽよ?そうだ、ぼくロボボをつれてこなきゃ。かばんちゃん、あのカード貸して」
「あ、はい。これですか?」
《BGM:枯渇した海》
ホイールモードとなったロボボは、その赤いボディを灼熱の太陽にきらめかせ、トレーラーを牽引していく。
三人が向かった次なる地は、さばくちほー――侵略者のいう“デベロップデューンズ”――だ。
「ぷえぇ、あつい...アイスの能力がなかったら、すぐバテてるだろうな...」
広がる砂漠のあちこちには、無数の煙突が地下から突き出ており、工業用の大きな発電所まで設置されている。たまたまトレーラー内にタライがあったので、かばんとサーバルはそれに入れたカービィの氷で暑さをしのいでいる、という具合だ。
「スナネコとツチノコ、無事かなぁ?」
「じゃあ、バイパスの方にも寄っていこうか。何か情報が手にはいるかも知れないからね」
「ぷ?どこかよってくの?」
「カービィさん、もう少ししたら洞窟が見えると思うので、そこに寄ってもらっていいですか?」
「りょーかーい!」
「何、これ...」洞窟の入り口には、ガラクタが山積みになっていた。
「これですか?なんか昨日、大きな青いバスみたいなのがきて、ボクの家の前にどさーって置いてったんですよ」スキマからひょこっと顔を出したスナネコが答える。
「あいつらが来て、おもしろ場所が増えたな〜って思ってたんだけど、すぐに見慣れちゃったんです。あれ?新しいバスに、ピンクのセルリアン?」
カービィはロボボを降り、ガラクタの山を調べている。
「あれね、ちっちゃいのがカービィで、赤いのがロボボだよ!カービィすごいんだよー!」
「へぇー...」やはり、スナネコの飽きっぽさは健在のようだ。
「うーん...そうだ!カービィさん、この中にコピー出来そうなものって、ありますか?」かばんは何か思いついたようだ。
「あ、ほんとだ!ほら、これは『カッター』、これは『パラソル』、あとこれ『ハンマー』に、あと...『クリーン』もある!」
「じゃあ、いくつか選んで、僕に持たせて下さい!そうすれば、いつでも能力を使えますよね?」
「うん!そうだなぁ、まず『ハンマー』は絶対だよね、あと『カッター』もすてがたいなぁ...」まるでウィンドウショッピングでもするかのように、カービィはガラクタの中身を眺めはじめた。
「これはスカかな、これは『ファイター』、『メタル』...あ、『スナイパー』に『ヨーヨー』、『ミラー』まで!迷うなぁ...ん、何だろ?」
ふと、カービィの目にあるものが留まった。
確かにそれは、スプーンだが、奇妙なことにひん曲がっている。これでカレーを食べても美味しく感じられないはずなのに、不思議なパワーを持っているように思えるのだ。
「(これ、もしかしたらつよいコピーを持ってるのかも...)きまったよー!」
大きなハサミ。小さめの木槌。格闘技のグローブ。ハタキ。手鏡。きれいな矢。折り畳み傘。そして...曲がったスプーン。
「よいしょ、っと...ちょうど収まりましたね」
「聞いてー!かばんちゃん!」スナネコと話をしていたサーバルが、駆けてきた。
「ツチノコが、遺跡のあった所まで来いって!」
「はい。何かあいつらの目的?かなんか掴んだから、かばんたちがまた来たら、呼ぶようにいってました」
(ツチノコさんが、わざわざ僕のことを?何か大変なことが...)
「...よし!カービィさん、サーバルちゃん、移動する支度をして!」
「うん!なにか大事なこと、わかるかもね!」
「いいよ!スナネコ、お家ちょっと通るね!」
「かまいませんよー!」
カービィはロボボのエンジンをふかし、トレーラーを引いてバイパスの奥へ向かった。
《BGM:『64』いせき》
三人はロボボから降り、遺跡の入り口に立っている。
「ここが遺跡?レーズンルインズみたい!」
「またロボボ、通れないのかな...?」
「でもここ、まだあいつらには見つかってなさそうだよ」
カービィたちは思い切って、扉を押して開けた。
「カービィ、足下気をつけて。それとれると、出られなくなるよ!」サーバルが床の下駄を指して言った。
「おーっと..」
「あ、あの建物、何!?」
かつて地下迷宮があったその空間には、非常に大きな灰色の建造物があった。絶えずゴウンゴウンと音をたて、屋根からは沢山の煙突が地上へと伸びている。
「...遅かったじゃねぇか」