EP.2-5 Encounter 5
「あの〜……何か、私にご用ですか?」
気づいたら、その人は僕の目の前に立っていた。
少しだけ目線を下に向ける。
どうやら彼女は、僕よりも背が低いらしく、
見上げるようにして僕を見ていた。
「え!えっと〜……」
目線がかち合って、僕の胸を揺らす。
「……す、すみません!どこのどなたか存じませんが、
ちょっと、見てもいいですか?」
「はい?……え、見るだけなら、別にいいですけど」
「あ、ありがとうございます。じゃあ」
僕は彼女を、まじまじと見つめた。
艶やかな黒髪。張りのある白い肌。
そして、僕をじっと見つめる、綺麗に澄んだ瞳―――――
「次、鼻、いいですか?」
「鼻!?」
「あ、あの……そんなに変な事は、しないんで」
「……まあ、鼻くらいなら、別にいいですけど」
その人はかなり不審げな顔をしていたが、
受け入れてくれたので良しとした。