EP.2-4 Encounter 4
しばらく行くと、目の前に人だかりが出来ていた。
大勢の人が、一つの方向を向いている。
何とか人ごみを掻き分け、その人だかりの中心を見ることが出来た。
そこにいたのは、肩から何かを提げ、笑顔で歌う、1人の女性だった。
♪砂にうずめても隠し切れぬ思い
ああ 海に 大きな声で投げるんだ
その人が肩から提げているものからは、
ジャカジャカと音がしていた。
どうやら、あれは楽器らしい。
その楽器の音と、女性の美しい歌声が混ざり合って、
綺麗な歌が紡ぎ出されていく。
僕はいつの間にか、歌に聞き惚れ、その人に見惚れていた。
♪都会の空に 星をください
とてもきれいな 星をください
歌が終わり、周りの人たちが一斉に拍手をした。
その人は楽器をケースにしまい、帰り支度を始める。
周りの人たちもぽつり、ぽつりと帰り始めていたが、
僕はずっと、その人を見つめていた。