1996年のカレー
続きです!
あかねはつぶやくと、後でその子に声をかけようと考えました。
朝の会が始まりました。
健康観察を聞いていると、あかねの出席番号は7番だそうです。
この学校は、50音順で出席番号を決めているとのこと。
あかねはテンションが上がりました。
「やった!7番!ラッキーセブンだ!」
途端に、あかねは呼ばれました。
「未奈野 あかねさーん」
「は、はい!」
あかねは焦ったように返事をしました。
次々と名前が呼ばれていきます。
でも、あかねは、知らない子ばっかり。
まだ流星としか話していないのですから。
「高原 友さーん」
「はーい!なのサ!」
あかねはその名前が呼ばれたとき、忘れていたものを思い出すように、気づきました。
「ともって…私が現代にいたときの友達…!しかも語尾まで…。でも、何でこの時代に………。」
あかねは横を向いていました。
「あ、今は健康観察だ!」
そう気づいたあかねは前を向きました。
健康観察が終わり、1時間目の始まる間にあかねはともに話しかけることにしました。
「えっとーあの、君はともだよね…?私はあかねって言うんだけど…確か他の時代であった気が…」
あかねは戸惑いながら話しかけると、ともは、
「あ、そうだったね。あかねちゃん、引き続きよろしく!」
途端に、1時間目の始まりのチャイムがなったので、詳しくは休み時間に話すことにしました。
みずなもこの時代に来ていると思っていたようですが、残念ながらみずなはこの時代に来ていないよう。
1時間目と2時間目の授業が終わり、休み時間が始まりました。
すると、すぐにあかねとともは、誰にも邪魔されない屋上への階段に行きました。
そして、どうやってこの時代に来たのか、いつ学校に来たのか、…など、色々なことを聞き合いました。
時が経ちます。
いつの間にか、時計の針は、休み時間の終わりの、
「10時45分」
の近くを指していたのでした。
それに気づいたともは、あかねにこう言いました。
「そろそろ休み時間が終わるし、教室に戻ろうよ!」
「あ、そうだね!」
あかねははっと気づき、早歩きで教室に戻りました。
すると、その教室には、なんと人は1人……。
あかねとともは1人で本を読んでいる子を見つけたのでした。
ともが声をかけようと思ったその時、休み時間の終わりのチャイムが鳴ってしまいました。
ともは、残念そうに席に戻っていきました。
あかねは、昼休みに、次こそその子に声をかけようと決心したのでした。
先生と子どもたちが戻ってきました。
3時間目の算数の授業が始まりました。
あかねは、正直算数の授業が嫌いだったので、たまにボーーっとしていました。
すると、あることが頭に思い浮かびました。
それは、今、現代ではどうなっているのか ということ。
「みずなだけ置いていってしまった…。そして、きっと家族にも迷惑がかかっているんだろうな……。」
あかねは寂しそうにつぶやきながら、窓の外を見ました。
「どこまでも澄んだ、青い空。
そしてそこに浮かぶ白い雲…。」
あかねは、その時、ふとあることに気づきました。
「先生!雪!雪が降ってます!」
あかねは思わず叫んでしまいました。
そう。雪がちらちらと降り始めていたのでした。
そのあかねの声を聞いた瞬間、クラス33人の子どもたちがいっせいに窓際に駆け寄っていきました。
「わ!本当だ!雪が降ってる!」
「確かに!今日は11月の最後の日だね!」
「綺麗だなぁ…この雪が降り続いてくれればいいのに……。」
それぞれの子どもたちの声が、聞こえます。
先生が言いました。
「雪降ってるね!昼休みまで振っていたらいいね…。でも、とにかく今は、授業を進めよう!」
それを聞いた子どもたちは、残念そうに
「はーい…」
といい、席に戻って行きました。
3時間目と4時間目が終わり、給食になりました。
あかねはこの学校に来て初めてなので、まず給食当番を見学することにしました。
「ええ…ダムウェーターで運ばないんだ…大変そうだな…。」
「ええ!牛乳、ビンなんだ…。」
そう。1996年の給食当番はあかねがびっくりすることがたくさんでした。
大変なこともたくさんありつつ、あかねの大好きな給食を食べる時間がやってきました。
「やったー!カレーだ!」
あかねは思わず叫んでしまいました。
それを聞いたみんなが、
「あはは、あかねちゃんって、食いしん坊だね!」
と笑いました。
そんなふうに、あかねはクラスのみんなから注目されるのが好きなのでした。
「給食当番さん、ごくろう様でした!美味しい給食いただきます!」
日直が給食の挨拶をし、あかねは大好きなカレーの、一杯目を食べました。
「今とはちょっと味が違うけど美味しい〜!」
1996年のカレーは現代とは味が違うようでしたが、それもまたあかねには最高の味なのでした。
給食を片付ける時間になりました。
あかねは幸せな学校生活だなと思っていました。
でも、それは間違いでした………。
ほとんどの子は食べ切りましたが、1人残している子がいました。
それは、なんと、とも…。
あかねはびっくりして、聞きました。
「え、ともくん!大丈夫か!?」
ともは、元気がなさそうに答えました。
「あ、うん…多分…大丈夫だと思う……」
あかねは焦って言いました。
「え!大丈夫なの!?」
あかねは言いましたが、次の瞬間、不幸が起きました……。
一体、どんな不幸なのでしょうか……。
続きます…。