第12話 ルーナの誕生理由
「ここが、図書館です」
目の前には沢山の本がズラーッと並んでいる。1種類の本に、何万かは余裕で超え、様々な種類がある。これを1冊1冊読み返していくのも相当苦労するくらい本は分厚い。
「す、凄いですね……;」
「ちなみに、私達が調べようとしている世界樹についての本はここには存在していません」
「ど、どういうことゾイ!?」
「…正確には、ここにはないだけで隠し場所に存在してるだけです」
「それだけ内容に触れてはいけないものか?」
「おそらく…そうかと……」
デデデが「なら案内するゾイ」と待ちくたびれたかのような言い方をしていた。
「待って下さいね。確かこの本を持ち上げれば…」
秋桜がペンダントが描かれたいた絵本のようなものを持ち上げると、その隣の本棚が扉のように動き始めた。
「おぉっ! す、凄いゾイ!」
「では、ここで手分けして世界樹のことを調べておきましょう。それに、時間もあまり残されていないはずなので分担して読みましょう」
こうして、それぞれ世界樹のことについて調べることになった。その一方、カービィは…。
「あー、みんなどこだろ…。まあ、いいやここで、なんか読むか……」
本を探すと、何か不思議な本をまた目にしていた。それを取り出し、ページをペラペラとめくり始める。
「なになに…?」
あるところに あきれかえるほど 平和な国
プププ王国(キングダム)が あった。
しかし、その平和は とつじょ くずれさる。
かくちで あばれだした 敵たちから
プププ王国を 守ることが できるのか。
立ち上がれ、カービィハンターズ!
次のページをめくると、そこは白紙だった。
「えっ? ないの!? そ、それに…プププキングダムって………」
白紙のページから光が溢れ出す。何が起きてるか分からず戸惑うカービィ。そして、本の中へと吸い込まれていった。
「うわああああぁぁぁぁぁ!!!」
*
一方その頃、秋桜は…………
「…………」
自分のペンダントに手を当て、何かつらそうな顔をしていた。
『そう言うと思ったか? 私は、世界を滅亡させる!』
『そんなことをいつ言った』
『言っておこう。このことを話したりしたらただでは起きないぞ』
『何かとてつもないことでも起こすぞ』
「どうして…ルーナ……」
ルーナと笑っていたい。彼女はそう思いながら涙を一粒零していた。ルーナのことを知ればもしかしたら何とかできるのかもしれないと思い、そのことについて本を探っていた。
「この本なら、もしかしたら…!」
1ページずつパラパラと捲っていく。そこには、ルーナが誕生したことについてのことが書かれていた。
「……!! そ、そんな…………さんがそんな…ことなんて…絶対に……!!」
*
これは、ペンダントであるルーナが誕生するお話。ルーナはもともと、とあるものからによってそれが実体化し、生まれた者。そう、ルーナはもともとはペンダントの意思から生まれた存在。そうなったきっかけはここから始まったのだった。
『嘘だろ……?』
あのペンダントを作った本人が娘を抹殺したことだった。何故、抹殺をしたのかは分からないが、何かが起こっていることは悟る。
『お前が…ルーナ…を殺した…のか!』
その作った人、そうその娘の父が殺した。その怒りでルーナは生まれた。ペンダントに意思が存在するとは思えず、半分驚いてはいたが、平常でいる父だった。
『殺した? 私の言うことも聞かない娘を殺したというだけだというのに』
『お前は、人を何だと思ってる!』
『人? そんなものただの道具にすぎないよ』
そこから怒りの感情が爆発し、ついには、その父を殺すことにした。
『どうやら、お前は生かしてはいけないな。このまま死んでもらおうか』
『理解不能です。人を道具にした何が悪いんですか』
『お前、分かってるのか! ルーナは、いつも私に辛いことを言ったんだぞ! それを、長年と耐えてきたんだぞ!』
父はそんなことを理解することができない。父は、そんなことも知らない風上にも置けない奴だった。
*
『お父さん…おかしいよ。誕生日プレゼントに、私の好きなペンダントをくれたのに……いつしか、お父さんと離れていってる感じがする…どうして…』
『ルーナ、お前の気持ちは分かる…』
『誰っ……』
ルーナが悩みに悩み始めた頃、ペンダントに意思が生まれた。それが、今のルーナである。
『私は、ペンダント。お前のペンダントだ』
『嘘…ペンダントに意思が…』
『そういうことにもなると言えばいいのか? 私にも分からないが、私が生まれたというと、私とルーナの絆が深くなったことによって、私という存在が生まれたのかもしれないな』
『ねぇ…どうして、お父さん…ああなっちゃたの…!?』
今の今まで、愛してくれたのが、突然切られたような感じになっていた。ルーナは『お父さんを返して…!』と泣き叫ぶ。
『…私が、お前を救ってやる。絶対にな』
『ホント?』
『私が嘘をつく訳ないだろ? 私はルーナ、お前にとっての主的存在なんだからな』
『ありがと………』
*
『ルーナの苦しみは分からないだろうな。いや、分かるはずがない。主の願いはそう…』
『お前を殺す』
『いいのですか? 人を殺す様な真似をしても』
『あいつが死んでしまった以上、それ以外はない!』
そして、ルーナは全力で父を殺していく。自分の気が済むまで、ただひたすら殺っていく。
『死んだか』
もう起き上がることはなくなったと分かった瞬間、ルーナは止める。その隣には、闇のようなハートが転がり落ちていた。
『このハートは一体…』
そのハートに手に触れる。その時、そのハートがルーナの心を蝕んでいった。
『ああああああああぁぁぁぁっ!!!!!』
『憎い、世界が…人間が……憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!!!!!』
謎のハートによって、ルーナは世界が憎くなった。こうして、世界を滅ぼそうとなった。そして、ペンダントの所有者からという意味でルーナという名前がついたのだった。それから長年が経ち、いつの間にか秋桜の手へと渡っていった。
*
「ルーナ…に…そんな……過去が……………」
その本を閉じた時、秋桜は本に一粒涙を零していた。
「ごめん…なさい……っ」
秋桜はただ、謝ること以外出来なかった。せめて、ルーナを救えたらと思い込んでいた。
「私に…ルーナを…救えたら……」
一方、その頃ルーナは……
ルーナの精神世界の中で異変が起きていた。
「秋…桜…助け……うっ、うううっ!!!」
助けを求めるが、すぐに意識が途切れてしまう。
「チッ、一瞬でも意識を取り戻したか。少し支配を強めないとな」