どこかでずっと…(シリアス注意)
『READY&・>』
メタナイトの目の前には大彗星ギャラクティック・ノヴァがいる。彼は、とある願いを叶える為にここ『異空間ロード』へと向かっていた。
『アナタの・ねがいを・ひとつダケ・カナえて・さしあげマス…>』
「私の願いは…」
彼の願いは「もっと強くなりたいこと。この私にふさわしい銀河最強の戦士と戦わせてくれ!」と言う。戦って強くなりたいと思い、ここまで頑張ってきていた。だが、その目的の他にもあるが、そんなことも知らないノヴァはひとまず『OK…>』としか言わなかった。
『3…2…1……GO!!』
カウントダウンを終えると、とある空間が星の形のように裂け始める。そこから紫色の水晶らしきものが降り立つ。その中には銀河最強の戦士『ギャラクティックナイト』が封印されていた。
「…やっと会えた」
彼はギャラと戦って強くなるのもそうだが、会いたいという思いもあった。それは、数年前の出来事だった。
*
これはメタナイトがとある戦士団に所属していた時に起きた出来事だった。
『こんな所にいたんですか!』
当時、メタナイトはギャラがリーダーとし、結成をした『銀河戦士団』の一員だった。彼はギャラを探していたようだが…
『全く…みんなが心配して待っていますよ。さあ、みんなのとこへ戻りましょう』
『…嫌だって言ったらどうする?』
当初のギャラの瞳はメタナイトと同じ月のように綺麗な金色の瞳だった。今、彼は帰りたいけど帰りたくない雰囲気をかもし出していた。
『あなたがいなかったら、一体…誰がまとめるのですか…!』
ギャラが即答で『キミだメタナイト』と答える。突然すぎてメタナイトは沈黙をした。
『な、何故私ですか!? それに私がそんなこと…』
『出来る』
『どうしてそう言い切れるのですか』
ギャラは『そう思ったから』と呟く。それが、何を意味するかは彼には分からない。
『ねぇ、メタナイト…』
『どうしたんですか?』
『もし、私が…私じゃなくなったら…どうする?』
何故、いきなり大事になりそうな事を話すのか。彼は、もしかしたらいつか起こってしまうかもしれない…。彼にはそう聞こえていた。ひとまず『あなたを救おうとします』と答える。
『そう……あなたならやれるよ…』
『急に変な話をしてごめん。みんなのとこへと戻ろう』
ギャラが笑顔で言い、みんなのとこへと戻って行く。……それが、彼の最後の言葉だった………。
『ッ………』
どうか…私を………止め…てッ……………
*
彼等が戻った時、ギャラの様子がおかしくなっていた…。瞳は何の感情もない感じで血のような色へと変化する。
『ギャラクティックナイト………!?』
チカラに耐えきれず、暴走をしてしまったようだ……。目に映るモノ全てを抹殺していく。今の彼はそんな状況だった。例え、それが仲間だとしても…。
『どうして…そんなことを…あなたがそんなこと望む訳………!!』
ギャラが言っていたさっきの言葉はそんなことが起こることが分かっていて伝えたことなのだろう。メタナイトは、ギャラを救おうと思い、ギャラクシアを握りしめる。
『はああぁぁぁぁっ!』
キイィィィン…!
『なっ…!?』
勢いよく迫って行ったが普通にランスで弾かれた。
『遅い』
ザシュッ!
『くっ…!!』
(強い…。こんな私が……救えるのか…。救える…訳がない……)
『…メタ…ナ…イトッ……』
『ッ!?』
彼がどうしようも出来ないと思い込んだ時、ギャラの声がした。暴走しているチカラに抵抗しながらメタナイトに何かを伝える。
『メタ…ナイト……ギャラ…クティック…ノヴァ…に…私を……封印…すると…言って…』
『……! そんな事したら…!!』
もう二度と会えなくなるかもしれない…。彼はそう思っていた。
『時間が…ないんだ…お願…ぐっ!』
ここで本来のギャラの声は途切れた。
『…くっ! それしか…方法がないのか………』
拳を握りしめつつ、涙を溢しながらギャラクティック・ノヴァに届くように大声で『ギャラクティックナイトを封印してくれっ!!!!』と叫ぶ。すると忽然と姿を現した。
『READY…>』
『あれが、ギャラクティック・ノヴァ……』
願いが届いたのかカウントダウンを始める。
『3…2…1……GO!!』
すると、ギャラの周りから水晶っぽいのが現れる。
『……!』
『…これで……償える…』
赤い瞳でありつつも、感情は僅かに残っていた。そして、封印される前にメタナイトに『またこうして…救いに来て……次はもう…私じゃなくなってるかもしれないけど……メタナイトなら大丈夫…』とそう呟いた。そして、水晶が彼を包み込み、次元のような裂け目へと吸い込まれていった。
『……!! うあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!』
泣きじゃくれても、叫んでもギャラが戻ってくることはなかった。生き残ったのはメタナイトだけだった。
*
それからしてメタナイトがプププランドへ住むことになったある日その記憶を思い出していた。
『カービィ、そなたに頼みがあるのだが…』
『どうしたの?』
このカービィこそが今の戦士である。メタナイトはカービィにノヴァに会う為にはどうすればいいのかと訪ねた。
『ギャラクティックノヴァに会うんならミルキーロードから繋げなきゃいけないけど、それがどうしたの?』
『…仲間を守る為に強くなりたいのだ』
彼はそう言うが本当はギャラにまた会いたいからだった。
『そうなんだ…ねえ、メタ…』
『なんだ?』
カービィは彼の仮面を外し、そしてキスをした。
『……無茶だけはしないでね』
『…分かっている』
彼は顔を赤くした。そして、仮面を付け直し、マントを翼に変え、羽ばたいていった。
*
(久しぶりに戦うが、やはり強い…!)
「はあああぁぁぁぁっ!」
ザシュッ!
「くっ…流石、リーダーでもあるだけのチカラはある……」
「だが、私は……!」
再び会って、救い、また話していたい。そんな気持ちだった。その思いが彼を強くさせる。
「私はそなたとまた話したいのだ!」
「………!!」
「【ナイトビーム】ッ!」
「メタ…ナイトッ……!!」
ギャラから涙がポロリと溢れた。そして、昔みたいではない雰囲気ではあるが、雰囲気が違っても面影が残っていた。
「ギャラクティックナイト…!」
見事にギャラを救うことが出来た。メタナイトはギャラに抱きついた。
「…良かった。元に戻って……」
「…そなたならやってくれると思っていた。だが、もう昔みたいには過ごしていけないが…」
「例え…雰囲気が違っても…私はあなたの憧れだったことは変わりません!」
メタナイトは笑顔でそう言った。ギャラは小さかった頃のメタナイトを思い出した。
『ボクもお兄ちゃんみたいに強くなりたい』
『なれるさ…お前なら……』
何故かなくしていたその記憶を思い出したのか、メタナイトの頭をさするようなことをした。
「覚えてるか? お前が小さかった頃を…」
「私…が? …!! もしかして……」
メタナイトもその記憶を思い出す。そして涙を溢して「兄さん…だったのか?」と呟く。
「ああ」
「……! 私達、こうして色々なことがあったけど、ずっと一緒だったのか……!」
「ああ。だから、あの時は辛かっただろ?」
「…確かに辛かったです。でも、今は!」
メタナイトはずっと一緒にいれると思い込んでいたが、ギャラは首を振るような動作をした。
「メタナイト…そのことだが……」
薄々とギャラの体が透け始める。正確には、水晶にまた封印されるのだ。
「そんな…こうして会えたのに…また……」
「すまない…こんな思いをさせて」
「離れたくない…私は、あなたと離れたくないッ! 離れたら…私は……!!」
ギャラは強く抱きしめる。
「……!?」
「仲間がいない? フッ、いるだろ…お前の帰りを待つ奴仲間がいるだろ」
カービィやデデデ、メタナイツ、色々なことを思い出す。そして涙を拭う動きをして「また…会えますよね…?」と呟く。
「ああ。お前がノヴァに願えばな。」
「なら、私は寂しくないです!」
「それなら良かった。私も封印されてもお前の事を見守ってるからな」
そして、ギャラはまたあの時のように封印されていく。そして「ありがとう…」と呟き、異空間へと吸い込まれていき、次元の裂け目は消えていった。
「また…会いましょう……」
メタナイトは翼を広げ、彼の帰る所、プププランドへと戻って行った。