EP.2-1 Encounter 1
気がつくと、僕は、見知らぬ街の中に立っていた。
……ん?
……立ってる!縦に立ってる!!
歩いている人間の顔が、僕の目線と、一直線に重なる。
目の前の景色は、畑にいた時よりも、遥か上の景色だった。
目線が高い!
今まで眺めていた、あの空も、こんなに……
……捕まえられるほど、近くに見える!
「うわぁ……!」
思わず、見とれてしまった。
無意識に、空に浮かぶ雲を掴もうとしていた。
それほど、近くにあるように見えたから――――
空に向かって、手を伸ばした。
「自分」の手。「人間」の手。
指や腕を曲げ伸ばし、曲げ伸ばし。
……おお、動くねぇ。うんうん。動いてる。動いてる!
……なんとも言えない気持ちがした。
下の方に目をやると、すらっとした長い脚が伸びていた。
脚!自分の脚!
周りの人間たちの真似をして、右足、左足、右足、左足。
……ゆっくり動かす。動く!歩いている!
自分の足で、地面を踏んでいる!
僕は今、世界中のどんなキャベツよりも、幸せに違いない!
いや、きっと世界中の人間たちと比べても、
僕に敵う幸せ者はいないだろう!