EP.1-9 Trigger 9
これが、最後。
最後の願い。
今までの2つも、到底無理だろうと思っていたことだが、
悪魔はいとも簡単に叶えてくれた。
最後の最後、
最も叶えてほしい願いであり、
最も実現不可能な願いを……言ってやろう。
「…………人間に、なってみたい」
足。手。鼻。口。耳。声。
今の僕にとっては、人間の全てが、憧れだった。
人間の世界で、人間として、過ごしてみたい。
輝かしい人間の世界を、味わってみたい。
……最近は、そんなことばかり考えていたのだ。
「……そうか。おやすい御用だ」
心なしか、悪魔は今までよりも一層、
不敵な笑みを浮かべたような気がした。
「ただし!……この願いには、条件がある」
「条件?」
今までの願いを全て完璧に叶えてきた悪魔が、
はじめて「条件」を提示したことに、
驚きを隠せなかった。