岡田重然
ここは日出国。東の大陸を領地に持つ大国である。
私、いや俺はそんな大国を治める皇帝、岡田重然である。
もう二十年も前のことになるが、当時は戦で世は荒れに荒れていた。
その末、「このままでは皇帝どころか国が滅びる」ということで、
急遽選挙をすることになった。そこで当時兵部卿だった俺が当選した。
信頼が厚いのは良いが、野心はなかったので、ありがた迷惑であった。
「もう50半ばになるか・・・」
自宅の縁側に腰をかけ、一人つぶやく。
あれから二十年経つが、内乱もなく良い時世になったものだ。
「まだ、ですよ陛下」
こちらに来る側近に聞かれてしまったようだ。
彼は跋折羅(ばざら)。数百年に渡り、代々の皇帝に仕えてきた修羅である。
修羅というのは、属島「器怪島」で自然発生した種である。
普通のカービィよりやや大柄、体の一部が金属でできていて、長寿。
詳しいことは知らないが、彼自身相当な年になろうというのに、元気なものである。これは見習うべきだな。
日頃いろいろ思うものの、詰まるところ、俺は政でなく趣味の武具集めにはげみ、武人として死にたかった。だがそれももう叶わない。
そろそろ隠居生活に入りたいものだ。