シャルル(escape)
「さよなら。」
それは、貴方が先に言ったのにさ。
それなのに、なんで、
こんなにも悲しいんだろう。
そうやって昨日のことなんて忘れてしまうんだろう?
ならもう良いよ。
「...笑ってよ。」
花束を抱えて歩く。
意味なんて特に無い。
ただ、病棟を外から見下ろしたかっただけ。
心なんて要らなかった。
だから、自分の理想の縁に置き去って歩いた。
まぁ、もう良いか。
気付いたときにはもう、鏡の前。
その鏡から反射して見えるのは深い青で満たされている。
鏡の前に居るのが退屈になり、ベットに座る。
ふと思ってしまう。
自分は、彼と同じくらいに悩めたのだろうか。
愛を謳歌する。
気付けば雲の上に居る夢を見ている。
その雲は、濁っていて、何も見えなくて、嫌に感じる。
いつの間にか夢は醒めて、することはなにもないから、今までを思い返す。
思い返したのは、日々について語り合っていた日のこと。
四人が来る前だっけ。
話している姿を思い返せば、喧嘩をしていることもあれば、仲良く話していることもある。
彼と一緒に居る日々は楽しかったなぁ...。
まぁ、もう、叶わないと思うけどね。
せめて、もっと先で、さよならするなら、
「笑い合ってさよならしたかったなぁ...。」