ノート1 こうなった。
僕、に名前はあっただろうか。
僕、に笑いはあっただろうか。
僕、に助けなどあっただろうか。
僕、にとって大切な人はいただろうか。
僕に、僕、に……語りだしたらきりがない…
僕、に幸せは、ないと思っていた。
僕は、昔から親に叩かれたり、殴られていた。何でかは、解らない。僕の両親は酷く、いつも怒鳴りあっている。
その腹いせに、僕を利用する。
今、僕は地下室に幽閉されている。手を目の前に持ってくると、ジャラ……と、音がして手錠がしてある。体のあちこちには、痣が残っている。
「ふぐぅぅっ……」
よくわからない、この感情。今すぐ、逃げだs
「ほんっとムカつく!!!!!」
「!」
怒りながら、僕のお母さんが地下室に入ってきた。
「っっっっったく………!!」
やだ、やめて………
パシッ…
嫌な音を立て、いきなり頬を打たれた。どうして……
このままじゃ、殺される。嫌だ。まだ、生きたいのに。
その時、お母さんが手錠を外した。
『今しかない!』
お母さんが手錠を外した時は、大抵、煙草の残り火を押し付けて、僕が怯えるのを見て、楽しむ。
「!」
僕は、お母さんの頭を蹴り、地下室から出た。
見つかったらどうなるかも知らない。
家の構造はよく知らないけど、近くの革製の鞄に食べれそうなもの、お金って言う物を詰める。
そして、お父さんのコートを羽織り、薄い毛布を突っ込み、鞄の口を締め、外に出る。
親の名前は知らない。警察に言っても無駄だ。この家の地区も知らない。
「待て!クソがっ!!」
お母さんの罵声も無視した。
さよなら。