死へのアクセル
ウィリー「…ここから少しでも動けば俺は落ちるだろうな」
俺の名前はウィリー。今、俺はプププランドのとある崖に来ている。
理由?そんなもん、決まってるじゃねーか。
死ぬためだよ。それにしても…
ウィリー「なあ、お前は俺を助けるとかしないのか?」
誰か「助けてほしいなら助けるよ。話を聞くなら聞くし」
ウィリー「んじゃひとつ、冥土の土産としてあんたに聞いてほしい話がある」
誰か「うん、長くなければいいよ」
ウィリー「俺はなんのために生まれたなんて、考えた事はあるか?俺は何度もあったよ。皆には手や足がある。翼がある奴だっている。俺はどうだ?ほぼ話せるタイヤだ。手がないから物は取れない。翼がないから空は飛べない。唯一俺が自慢できるのはスピードだ。足がなくても胴体ひとつ、目ふたつで走っていたんだ皆が出来ない事を俺は平然とやってのける。これだけで生きる理由にはなった。
そんなある日の事だ。バグジーって言う奴がいてな。そいつはまあ、陰口が好きな奴でな。いろんな奴の陰口を話しまくって
いたんだよ。特にカワサキの陰口がすごかったな。とりあえず、嫌味を言う奴だな。
そんなバグジーは俺に向かってこう言ったんだよ。
『なあ、バンド一緒にやろうぜ…あっ!お前、手がないから楽器持てねーじゃん!…ん?お前の取り柄って速いだけだよな…
可哀想な奴だな!まるで、走るだけのために生まれたみたいだよな。俺お前に生まれなくて良かったわ、ガッハッハッハ!』
俺が可哀想?生まれなくて良かった?
俺は全てを恨んだ。皆死ねばいいのに。手がある奴、足がある奴、翼がある奴、権利がある奴、皆、皆死ね、そう思ったんだ」
誰か「そして、その願いは叶ってしまったんだね。」
ウィリー「ああ…今朝の出来事だったよ。皆は週に一回行われるデデデ大王の式典に行きそして死んでいた。俺のせいだな…死ねだなんて願ったから皆死んだんだ」
誰か「君は行かなかったのかい?」
ウィリー「ああ…行きたくなかった。行ったらきっと殺していたからさ」
誰か「ふ〜ん。でも君は何もしてないのに、自殺しちゃうんだね」
ウィリー「フッ…君はすごいな。式典で起こった事は俺の仕業じゃない」
誰か「それじゃ、何で自殺するの?」
ウィリー「何でかな。別に生きる事が幸せと言う訳じゃないからだよ。カービィ君」
カービィ「死ぬ事が幸せ?僕には難しいよ。」
ウィリー「分からなくてもいい。最後に君と話せてよかったよ」
カービィ「…」
その後のウィリーの行方は誰も知らない。
死へのアクセル 完