春一番
「変質の夏」
「ううっさむ〜」
まだ南風も吹かない時期、久しぶりにカービィは外へ出て、
身を震わせていた。
「まだこんな時期かぁ〜 しょうがないよね…… はあ、今何月だっけ?」
カービィはそそくさとドーム状の家に入り、
カレンダーを探し始めた。
「えっと、カレンダー カレンダー」
おもちゃ箱、壁、床、お菓子いれをすみずみまで探したが、
何故かなかった。
「しょうがない、となりのワドにでもみせてもらうか……」
何故月を確認するのにこんなに必死なのは、カービィ自身も薄々気づいていたが、あまり気にしなかった。
隣にはワドが住んでいる。
ワドは物心ついた頃には一緒にいたほどの親友だ。
足の速さ、じゃんけんの強さ、成績の高さ、身長の高さ……
何もかもを競い合った仲だ。カレンダーなど、容易く見せてくれるだろう。
「わぁーど! 今何月〜? 」
シ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン
返事が無い……
「ん? 張り紙??? どれどれ? 『出かけています。』!? ん〜帰ろ帰ろ!! 」
だが、こんな寒い時期にワドが出かけることなど滅多に無い。
気になったが、家で一旦暖まるのを先にし、ワドを後にした。
ひらひら
「……」
ひらひらひら
「…………」
ひらひらひらひら……ぴちょ!
「はっくしゅん! う〜ん……あっ! 」
カービィの周り(というかあたり一面)が、ひらひらした冷たいものに覆われている。
「雪だぁ〜」
不都合が続き、少し気が滅入っていたカービィの気分が一気に高揚する。
カービィが喜んでいる内に、雪は少しづつ積もり、皆が遊びに来た。
「あっ! リック! クー! ピッチ! ナゴ〜 グーイにチュチュだぁ〜! 」
「よぉ カービィ この量の雪なんてすごいよな!! 」
「ナゴナゴ これなら寒くても我慢できるよ」
「やっぱり雪は降らないとね〜」
「ぐいぐ〜い! 」
「何で遊びますか?」
「雪遊びだよな! 」
「じゃあ雪合戦だね!! 」
「「「「わいわい キャーキャー がやがや ヒュー!! 」」」」
雪が降って元々高揚していたカービィの気分がまた上がった。
けれど、皆と遊んでいるうちにワドの存在を思い出した。
――――今、ワドはどこにいるのか…………
――――なんの為に出かけているのか…………
――――そして今は何月か…………
それなら直球に聞いてしまおう。それが早い。
とカービィは皆に聞いてみることにした。
「ねぇ、ワド見なかった? 」
「ワドなら……確かせかせかした様子で、時計台まで走っていったかなぁ……よく覚え…………」
「ありがとう!! 」
カービィはリック達に聞いてさっさと時計台へ向かってしまった。
「変な奴……?」
〜時計台〜〜〜〜
「はぁ、はぁ、ちょっと休憩……」
ここは時計台。シンプルな時計が飾ってある。何故か月日を確認できる。。。
今は何月か聞き忘れた と確認する、が
時計の時刻が……
「8月!!??? 」
だった……