白黒アルバム
海の中って、どんなものだと思う?
私はね、きっとお魚さん達が一杯居るんだと思うんだ。
それと色んなサンゴも一杯で。
とっても楽しいよね?
そう言って、いつも見えない世界の事話してた。
想像だけで創造する世界にリアリティなんてまるで無くてさ。
空を泳ぐクジラ、海に潜るモグラ。
そんな混沌とした自由の中にあったのは。
君の姿だったんだ。
だからその姿が消えないように。
僕は君と約束したんだよ。
僕が君の瞳になろう。
我ながら凄く臭い台詞だとは思ったさ。
それが言えたのは君が僕にとってそれほどの存在だったからなんだよ。
ねぇ、君はさ。
今もまだ、覚えてくれているかな?
目を覚ます。
何も世界の中での生活はとても退屈でね。
貴方は分かるかな?
今日の天気も分からずに。
過ごす私のこの気持ち。
ただ、貴方が居てくれる。
それだけでも、とっても嬉しかったのに。
『僕が君の瞳になろう。』
思わず笑っちゃったよ。
凄く臭い台詞だなぁってね。
でも、嬉しかったんだよ?
だからかな、あの時は闇が滲んで見えたんだ。
ちょっとだけ、白が見えた気がしたの。
例えそれが思い込みでも。
この世界が想像にすぎなくても。
私達、約束したよね。
ねぇ、貴方は覚えててくれているかな?
いつか私が死んだらさ。
いつか僕が死んだらさ。
かけられた目隠しを取ろうってね。
だから、取ったよ。
けど何でかなぁ。
貴方が居ない世界なら。
見ないほうがマシだったのかもね。
だってもう。
滲んじゃって何にも見えないもん。
だから、想像するの。
貴方が見ていた風景。
貴方が見てくれた、私の姿を。
いつも想像して、壊すんだ。
私の涙が、全部壊すんだ。
貴方の姿さえも、忘れてしまいそうなんだ。
嫌だ。
そんなの、嫌だ。
だから私は、作ったの。
創造したの。
この世界を……ね。