変態スキル
俺の目の前には不気味な笑いを込み上げているやつがいる。
こいつがそういう時はいつも決まっている。
『なにかいい事を思いついた時』だ。
初めから良いことじゃないことだと分かっていることだ。関わる気がしない。
関わってもなんの利益もない。
出来るだけその『馬鹿でくだらないことを考えている相棒』を見ないように俺はバイトの求人広告を見ていた。
「ねぇゼイド〜。実は俺いい事思いついたんだよ〜。あのね」
こいつは俺から漂う『近づくなオーラ』をまったく受けていない。なんてやつだ!!
「変態はもてるんだよ!!!」
「…は?」
自信満々に何てこと言ってんだこいつは。
「ほら、よくアニメとかゲームとかの変態はもてるじゃん!!」
あんまりアニメ見ないくせに何を言ってるんだこいつは。
「まぁそうだな。」
「だろ?いやぁ〜俺のこの変態スキルも捨てたもんじゃないねぇ〜♪」
「ただし2次元に限るけどな。」
「!!」
さっきまで自信満々に喋ってたこいつが雷に打たれたかのように固まった。
停止した馬鹿を無視して俺は再びバイトの求人広告に目を通した。