あしかのらいぶらりぃ
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執筆者: nico/投稿日時: 2012/10/04(木) 18:41:35
投稿者コメント:
リレー企画すっぽかして何やっているんでしょう僕(ォィ
すみません急に思いついたネタなんですぅ〜(汗(殴(蹴

一応一話完結となっています。
続きある感じの終わり方ですけd((
人気があって「続き読みたい!」という人がいたら続きを書きt(ry
時計屋
ねぇ、君は知っている?

あの丘の上。
あの高い高い丘の上にはね、小さな時計屋さんがあるんだって。
その時計屋さんは、時間を戻すことが出来るっていう噂があって。

だからいつか行ってみたいな。
その時は、アドレーヌも一緒に行こうよ。

…そう君は言っていたよね。
だから私はここまで来たんだ。
何故君が笑わなくなってしまったのか。
君の笑顔を探しに来たよ。

…私はいつでも笑っているのに。
いつでもいつでも、君の笑顔のためなら笑っていられる。
なのに、どうして…?



ここは丘の上、小さな時計屋さんの前。
少しボロボロで、ドアの取っ手を引っ張ったら、崩れるんじゃないだろうか…などと不安に思っていた。

「ごめんくださーい…」
ドアを少し開けてみると、アンティーク調の空間が広がっていた。
外見は年季が入っているように見えるけど…
中はゴミ一つ無い、木製で茶色が主となっている統一感のある綺麗な部屋。

売っている時計、すべてアナログ式の時計。
まぁ、当たり前か。こんな古い店だったら。
鳩時計、壁時計などなど…時計一色。

「いらっしゃい、アドレーヌ様」

急に声を掛けられ、少し肩がビクッと動いた。

声の聞こえた方を見ると、「いかにも魔女!」という感じの…。
白髪だけど、声からして若い女性。少し年上くらいかな。
簡単に言えば、「若い擬人化シミラ」という感じだろうか。
「こんにちは…というか、何で私の名前を知っているの?」
少し間があったが、
「まぁいいから。とりあえず、中に入ってください」
そう苦笑いで言われ、遠慮なく入ることにした。



「まぁお茶でもどうぞ」
小さい湯のみに、凄く濃い緑色の、湯のみの底が見えない「お茶」を出された。
「あ、ども…」
まさか、これを飲んだだけで時間は…戻らないよね?
超怪しいけど。
死ぬなんてことも…まさかね。

横長のソファに座らされて、面接のようになっていた。
いろいろ考えてしまい、緊張する。

「それで、貴女も時間を戻したいんだよね?」

まるで心が読まれたかと思った。
いや、本当に読まれてしまったのか?
え?何?超能力?
正しい判断も出来なくなりそうだよ。

「え?まだ何も言ってませんよね?しかも、貴女[も]って、どういうことですか…?」
「あ、その辺は気にせず。私は何でも知っているので。というか企業秘密です」
「企業…はぁ、そ、そうですか」

魔女のような人はソファから立ち上がり、棚をあさったかと思うと、
チェーンつきの懐中時計を四角テーブルの上に置いて、また座った。
チェーンの金属の音が、静かな店内に鳴り響く。

「これで過去に行けるよ。戻りたい日を想像して、この竜頭(12時の上にある、出っ張っているやつ)を引っ張れば戻れるから。」

突然すぎて一瞬、言われたことが理解出来なかった。

「…ハイ?」
こんな手のひらサイズの懐中時計で、本当に過去に…?
…いやありえないありえない。
こんなので騙されないんだからね私は。そこまで馬鹿ではないよ。


「カービィ様の笑顔、探しに行きたいんでしょう?」


また心が読まれたのか、返答をされたようなタイミングだった。

何故ここまで知っていたのだろう。
でもその時はそんなこと考えず、「ハイ」という言葉が口から出ていた。

「…じゃあ、いってらっしゃい」

ためらいもなく竜頭を引いた。
戻る日は…そう。一年前の「あの日」。

引いて一瞬間が空いたが、しだいに周りの景色が崩れていく。
まるでパズルのよう。



―今、君の笑顔を探しに行くよ。

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