見たら後悔します、マジで。
うー、一応忠告はしましたからね!?
本当、ここの規約に反しているのでやめといたほうがいいですよ?
ちゅ、忠告しましたからね!?
今更苦情は勘弁して下さいね!?
本当に後悔しませんね!?
ここまで忠告して読んで苦情とかマジでやめてくださいね!?
いや、苦情されて当たり前なのはわかってますけど!
むー、本当に良いんですか?
良いのならばどうぞ……
題:砂と時計と思い出
それは時の止まる前のある国のお話。
時が止まる前、その国に住むとある魔術師が、時間を我が手に納めようとある魔法を行使しました。
それは時を操る禁忌の魔法。時空を歪ます破滅の魔法。
必要な物はそれぞれ四季のおもいでの結晶、そして、それを粉々にしたすなを入れた砂時計。
魔法使いは着々と準備にとりかかりました。
四季のおもいでを込めた結晶を作るには、自分の記憶、つまりその季節のおもいでを犠牲にしなければいけません。
魔法使いは不幸とも言えますか、そのおもいでを持っていました。
そのおもいでは愛する我が子と必ず一緒です。
ふと、魔法使いはポケットの中からある写真を取り出しました。
その写真には魔法使いと愛する我が子の姿、バックには大きな桜が写ってます。
けれど、その子は笑っていませんでした。
その子は今写真を見ている魔法使いをじっと見つめているようにみえます。
どうして?なんでこんなことしようとするの?失敗したらみんななくなっちゃうんだよ?
その場に愛する我が子が居れば、魔法使いのことを止められたかもしれません。
しかし、もうその子はいないのです。
幸せは一瞬で奪われました。
もしあの時、魔法使いがもっとはやく気付けてれば、あんなことにはならなかった筈です。
その子を助ける術も何もかも、魔法使いは持ち合わせていましたから。
階段をかけ登りながら、魔法使いは我が子の叫び声を聞きます。
あともう少し、もう少しだけ待っててくれ。
その願いを胸に、魔法使いは子供部屋の扉を開けました。
扉を開いた先にあったのは、絶望という言葉がふさわしいものでした。
床は血の海と化し、真ん中には1つの物体。
そしてその傍に居る人影が手にしているのは愛する我が子の………。
気付いたら、誰も居ませんでした。
そこにあったのは、真っ赤な壁と、もはや人であったと判別もできないほどぐちゃぐちゃななにかと愛する我が子の…。
鉄の匂いがしました。
顔を手で拭うと、そこにはべっとりと赤いものがついてました。
片手にはリボンが握られていました。白いリボンは赤くなっていました。
全てに気がついた瞬間、魔法使いは叫び声をあげました。
それは聞くとおかしくなるくらいうるさい叫び声を。
そうです、これは夢なのです。
はやく目を冷ましたい。そうか頬をつねればいいのか。かんたんなことだ。
赤い手でほっぺをつねります。何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も。
つねっても痛みも、なにも感じません。
惨状をみても、何も出てきません。
なんで、なにもでないのか。魔法使いは気づきました。
なにも、ないからです。
もう魔法使いの中身は空っぽだったからです。
涙も声も何も出せない魔法使い。
それはもはや人間というにはほど遠い存在でした。
それから、何をしてここまで来たのか、魔法使いは覚えてません。
覚えてなくて、いいのです。
だってもうすぐそんなのは終わるのですから。
写真をながめても、やっぱりなにもでてきません。
しかし魔法使いはその写真を大切にポケットの中にしまうと作業にとりかかりました。
自分の記憶とは、もうオサラバです。
愛する我が子なんて、いませんでした。
あんなことなんて、起きませんでした。
みんなみんな、いませんでした。
さよなら…。
結晶は綺麗でした。
それを砕いて砂にするのはもったいないくらいに綺麗です。
けど、そんなこと言ってられない、さぁ砕こう。
しばらくしないうちに砂になりました。
さて容器の中に砂を入れましょう。
魔法使いにはその瞬間が、とても長く感じました。
だってその時点で、時は止まっているのだから。
哀れな魔法使いはそれに気づかない。
あぁ、なんて哀れで美しいのでしょう。
その国は止まりました。
子供達は笑顔を浮かべたまま、動きません。
噴水の水は宙に浮いたまま、そのままです。
鳥達は空を飛んだまま、木の葉は落ちることを許されず、時計の秒針は動きません。
太陽は、その国をしばらくてらしてましたが、やがて沈んでいきました。
代わりに出てきた月は、その国を見て
、哀れなりと呟きました。、また暫く立つと太陽が顔をだし、そんな時間が今も続いています。
人間はなんて愚かなのでしょう。
それ故に、美しいのです。
時の止まったその国は、永遠に消えないオブジェとなりました。
神々はそれを見ると、必ずこう呟くのです。
嗚呼、なんて美しいのだろう。と。