死与 『死』なんてものは
善と悪。
罪と罰。
生と死。
それら全てを含めて、世界は成り立っている。
それら全てを含めて、人間は成り立っている。
それら全てを裁く為
我らは居るのだろう。
冥界での仕事は様々だ。
魂の審判、天国か地獄へ行くための書類整理及び管理、転生受付。
まあその他にも色々あるのだがその中で最も大事なのは。
「迎えに参りました。終点です。」
…魂を迎えに行く事。
それが冥界に住む者…「死与(シト)」の役目。
神は何故『死』というモノを作ったのだろう。
僕には分からない。
『死』が存在する訳が。
ずっと生きていた方が幸せ。
なにより僕らも仕事をしなくてすむ。
けどお姉ちゃんは言うんだ。
「『死』がなければ皆辛い思いしかしない」って。
僕には理解できなかった。
死んじゃったら残された人達が可哀想。
それは当然の事なのに。
いざやってくるとこみ上げてくる。
想い、言葉、涙…。
押さえつけていたもの全部。
だから、『死』なんて
無くてもいいんじゃないかな?
命灯(メイト)…それが僕に与えられた名前。
この世界での名前。
この薄暗い世界の
___たった1つの灯。
僕は今日も翼を広げる。
命の灯を消す為に。
それが僕に与えられた存在意義。
それが僕に与えられた名前。
そんな時、あの子に出会った。
太陽のような笑顔。
僕には眩しすぎたその笑顔。
あの子は今ごろ元気かな?
もう1つ僕に存在意義をくれた…大切な存在。
僕のもう1つの存在意義。
あの子の為に生きること。