オムライス
「…。」
私の目の前に差し出されたのは
オムライス。
スプーンでほんのすこしすくって
食べてみる。
…おいしくない。
そもそも、私はオムライスが嫌いだ。
まず、ケチャップとご飯を絡めるなんて絶対ありえない。
なんでわざわざ和食と洋食混ぜるの?って思う。
それに、ライスの上にかぶさっている固くなるまで焼いた卵。
これもまた、ただでさえマズいモノを、より一層おいしくなくしてくれる。
しかも今日は体が溶けそうなくらい暑い。
部屋のエアコンはこういう日に限って壊れているのか、調子が悪いし、空調機が主流のこの時代、扇風機もない。
こんな暑い日に熱々のオムライスなんて
食べられるハズがない。
「何故食べない?」
「あ…ちょっと食欲がなくて…」
「そうか、まぁ今日も暑いからな。」
いつもと違い、仮面をとった彼のはにかむ額には汗がたらりとながれている。
折角、メタナイト自ら作ってくれたのに、間違ってもおいしくないなんて言えないから『食欲がない』なんて、適当に言い訳をこぼす。
「だが、食べないと体調を崩す。」
困り顔で此方を見つめるメタナイト。
と思ったら、急にパッと何かを思いついたように。
「私が魔法かけてやろう。」
「えっ?」
「ちちんぷいぷい、おいしくなあれ。」
そういって私のオムライスをスプーンで口元までもってくる。
「ほら、あーん、だ。」
言われるままに口をあける。
まだ暖かいオムライスが口いっばいに広がる。
嫌いなはずなのに、メタナイトに食べさせてもらったから…?
おいしい、かも。