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小説「
とある道化師のお話
」を編集します。
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作者名
想羅
タイトル
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内容
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ある街に、一人の道化師が居ました。 その道化師はいつも怒っていて、皆からは嫌われていました。 ある時は道路のごみに。 ある時は自分の帽子に。 皆はその道化師を狂っていると笑いました。 当然、彼がショーを開いても、誰も来ません。 勿論、腕は良い方なのです。 火の輪くぐりもお手の物、火吹き芸なんて余裕でこなしちゃう。 片足でボールに乗ったままジャグリングだって出来ます。 綱を逆立ちで渡ることだって、朝飯前。 道化師としてはもはや完成されている彼の元に、何故皆は来ないのか。 それは簡単なことです。 空を見上げるより、子供を殺すよりも簡単なこと。 そう、皆が望むのは、笑う道化師。 皆に笑顔を振り撒いてくれる。 笑顔で優しい道化師。 ならば笑えばいい? そういう訳にも行きません。 まあまあ、最後までお聴きなさいな。 その道化師は笑顔を知りませんでした。 怒る、泣く、その感情しか、その道化師は知らなかったのです。 狂った道化師はついに石を投げられるようになってしまいました。 出ていけ、出ていけ。 この街から出ていけ。 この世界からいなくなれ。 数々の暴言、暴力。 きちがい、なんて何回言われたことでしょう。 それでも道化師は相変わらず顔をしかめて怒ったまま。 ある日路地裏に居た大人たちに聞きました。 「何故、私では駄目なんだ。」 その言葉を聞いた大人達は声を揃えて笑いました。 ある者は腹をかかえ。 ある者は口元を隠して。 ひとしきり笑い終わった後。 大人達は、汚物を見るような目で道化師を見てこう言ったのです。 「だから駄目なのです。」 そうしてまた、道化師は一人ぼっちになってしまいました。 路地裏で一人寂しく猫と戯れては殺し、食し。 いつしか、路地裏は道化師の出したゴミで一杯になっていました。 それを見た大人たちは道化師を路地裏に連れていきこう命じたのです。 「今すぐこのゴミを片付けなさい。」 道化師は相変わらず顔をしかめたまま。 得意の火吹き芸でゴミを燃やしました。 とにかく燃やして、燃やして、燃やし尽くしました。 これで認めてもらえる。 その思いでいっぱいの道化師はひたすらに火を吹いてばかりいました。 隅々まで、きちんと、ゴミヒトツ残すわけにはいかないと。 気が付くと、路地裏は綺麗さっぱりでした。 燃えカス1つ無いその世界に道化師は居ました。 近くを通る子供はぎょっとして、道化師に聴きました。 「一体貴方は何をしたの。」 道化師は相変わらず顔をしかめたまま。 こう返すのです。 「綺麗にしたんだよ。」 その言葉を聞いた途端。 子供の顔が歪んでいきました。 ぐにゃりぐにゃりとその顔を道化師が見た時には、泣いていたのです。 泣きじゃくる子供を見て、道化師の頬は緩んでいきました。 とうとう地団駄を踏んで本格的に泣いてしまった子供を見る道化師の表情は。 とても優しそうで狂った笑いを浮かべていたそうです。 泣きじゃくる子供は言いました。 「お母さんは?」 道化師はより一層笑みを浮かべると、急に思い出したかのように。 「まだ、残っていたね。」 路地裏は道化師一人でした。 まるでそこは初めから何もなかったかのように。 ただ、道化師だけが、一人ぽつんと立っていたのです。 道化師は安らかな笑みを浮かべて。 「笑ったよ」 そう言って、路地裏を後にしました。 後に残ったのは。 焦げ臭い、匂いだけでした。 さて、これでお話はおしまい。 中途半端に思われたかもしれませんね。 貴方はこのお話から、何を感じ。 何を得られたのでしょう? 最も、私なんかのお話では わかるものも分からないかもしれませんが。 本日はご清聴ありがとうございました。 また縁があれば……いや。 また必ずお会いいたしましょう。 その時まで今は。 その本を閉じて頂けると……。
投稿者コメント
うん。なんだろうね。 それは狂った道化師の夢。
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