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小説「
Episode4 〜再起動:Restart〜
」を編集します。
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作者名
ロウ
タイトル
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内容
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2007年3月24日。病室のベットで朦朧とした頭は全てを思い出した。 思い出してしまった。 俺は生きている。 でも娘は… 俺は… 俺は娘を… 殺してしまった… --- 部屋で暇そうにしている娘がいた。 そういう時はいつもこう声をかける。 「散歩、行くか?」 そうするといつも娘は頷く。 そう、あの日も… 妻は娘がまだ3歳だった頃に病気で亡くなってしまった。 あの日から7年。俺は男手一つで育ててきた。 娘とこうして散歩することで心配させないようにもしていた。 研究よりも娘を優先することも多々あった。 そんな感じだった。 今日は雲一つない晴天だった。 娘は楽しそうに俺に話しかけてくる。 俺も色々と話を返していた。 3月23日、午後3時近く。 その時から俺の記憶は・・・無い。 翌日の朝まで。 --- 「ここは…。」 病室のベットで起きた俺は頭痛を感じた。 触ってみると頭には包帯が巻かれているらしい。 その頭痛は謎の違和感によって薄れていった。 いつも、あの時もそばにいた娘の姿が無い。 俺は近くにいた看護師を呼ぶ。 「手は尽くしましたが…」 「あなたの娘さんは…昨日…お亡くなりになりました…。」 原因は事故だった。 急に飛び出してきた車が俺と娘を轢いた。 交通事故だった。 ここまでの整理をするのに何日経ったのか…分からない。 娘の病室で見たのは冷たくなっている自分の娘の姿。 最初は疑った。見るもの全て、触れるもの全てを。 疑うことで自分を楽にさせようとした。 だが疑いをかけて最終的に残ったのは娘は死んだという真実である。 何も言えなかった。 あの笑顔も… あの声も… 少し恥かしがり屋な性格も… 全部…守れなかった…。 俺だけ生き残ってしまった世界で… 妻も娘も守れなかった…。 俺が2人を殺してしまった…。 この俺の手は… 誰一つ守ることが出来なかった…。 --- 研究所の床には大量の設計図が散らばっていた。 活気に満ちていた電気も今は流れていない。 娘が生きていた時までしていたアンドロイドの作成も何もかも馬鹿らしくなった。 永遠に生きる命なんて無い。 人も動物もロボットもいつかは死ぬ。 ただ一人残された研究所は荒れていた。 活気の無い生きている気配のない研究所で腐るように毎日を過ごしていた。 何度死のうと思っただろう。 でも死ねなかった。 妻や娘の顔が浮かんでは死ぬことをためらい続けていた。 「…俺にはそっちの世界は早い…か…。」 力の抜けた死ぬことも出来ない俺はただ経っていく時間を過ごしていただけである。 飯もまともに食わず2人の遺影に一人語りかけるようなそんな日を過ごしていた。 --- 季節は夏を越えて秋になっていた。 今日もまた変わらない日を過ごしていた。 その時、娘が亡くなってからいっさい鳴っていない携帯が急に鳴りだした。 出てみると仕事の友人である。 友人といっても年は離れている。 同じアンドロイドの研究をしている14歳の少年である。 名前はリョクという名前の少年だ。 20離れた俺に負けず、よく討論したことがある。 「あっ、サザルさん?僕です。リョクです。」 「あぁ・・・リョク君か・・・。どうかしたのか?」 彼は礼儀正しく応答をしている。 「実は僕ついにやったんです。作れたんです。」 「作れた・・・?」 「ほら、忘れたんですか?アンドロイドですよ。アンドロイド。」 「あぁ・・・。」 正直今の自分には興味が無かった。 「サザルさんにも見てもらいたくて今日電話したんです。」 「・・・わかった・・・。近々そちらに向かう・・・。」 「はい、じゃあまた!」 電話は切れた。 近々行くと行ってしまったなら行かなければならない。 リョク君が住んでいるところはゲートを通らないといけない場所にあった。 ゲートをくぐると別世界にワープできる。 普段では考えられないことだが都市開発が行われているクーリュの地ではそれが普通だった。 数時間経ってリョク君の家に着いた。 「あっ、サザルさん!!!本当に来てくれたんですね!!!」 「あぁ・・・。」 「どうぞ入ってください!!!」 この家は結構懐かしいような家だった。 そういえばおじいさんの家で妹と一緒に預けられているとこの前言っていた。 たしか両親は海外に行っていてあまり帰って来ないと聞いたこともある。 「フェリカ君、お茶を用意してくれないか。」 聞いたことのない名前を呼ぶ。たしか妹はメイセと言う名前だった気がする。 「お待ちしましタ。」 ピンク色の少女がアンドロイドだということは話し方でわかった。 しかし見た目は普通の少女である。 そのアンドロイドは首をかしげている。 「あぁ、フェリカ君。この人はサザルさんって言って僕と同じアンドロイドの研究をしてる人なんだ。」 「そうですカ。じゃあ登録しときますネ。」 していないと嘘をつくこともできずただ流されてしまった。 「それよりサザルさんは今どんなもの作っているんですか?」 「えっ…。」 春からずっと止まったままである。 パソコンも設計図も全く使っていない。 「まぁそれなりに…。」 「そうですか。またいつか見せてくださいね。」 「あぁ…。」 そういえば何か足りないような気がする。 「リョク君、メイセ君の姿が見えないようなんだが。」 「あぁ、メイセならすぐ帰ってきますよ。多分一人で散歩でも行ってるみたいですし。」 メイセ君はリョク君の妹だ。 たしか年は7歳。 「7歳の少女が散歩って、危なくないのか?」 「大丈夫です。いつも時間になれば帰ってくるので。」 「本当に大丈夫なのか?」 娘が亡くなってから結構敏感になっている。 「俺は探しに行く!」 「あっ…。」 街の中を走り回る。8歳の少女が行きそうなところ。 あの時を思い出す。 それは娘とケンカしてしまって何処かへ行ってしまったころ。 6時になっても帰って来ず心配になった俺は探しに行った。 色んなところへ行った。そして見つけた場所は…。 「居た!!」 公園。子供が行きそうな場所である。 あの頃の娘も公園に居た。 「あっ、確か…」 「ここでなにをしてるんだ?」 メイセ君は言い難そうな顔をした。 「ケンカか?」 「…ヤキモチ…かな…。」 「ヤキモチ?」 「うん…。ここにいるってことはお兄ちゃんに会ったんでしょ?」 「まぁな。」 「ずっと私とお兄ちゃんの2人で実験してたの。あのフェリカちゃんを作った時も。」 2人の息はピッタリだったらしい。 あれを持ってきてと言われたらすぐ持ってくる。いい兄妹だった。 「でもフェリカちゃんが出来た頃からお兄ちゃん、仕事は全部フェリカちゃんに任せて私には冷たいの。」 「そういうことか。」 「お兄ちゃんもフェリカちゃんも嫌いじゃないの。でも辛いの。」 「で、家出したと…。」 「…うん。」 夕暮れの公園に俺とメイセ君がいる。 「そろそろ家に帰らないとリョク君が心配するぞ?」 「…帰りたくない。」 「…。」 メイセ君はその一点張りである。 「でも帰らないとまた一緒に研究できなくなるぞ?」 「…もうお兄ちゃんにはフェリカちゃんがいるから大丈夫だよ。」 「…。」 しばらく考えた。一番良くなりそうな考えを。 「じゃあ俺の所で一緒に研究するか?」 「えっ?」 今思うとなぜこう言ったのかよく分からない。 しかしまだ続ける。 「今帰りたくないんだろ?」 「…うん。でもいいの?」 「あぁ、俺は大丈夫だ。」 「お兄ちゃんには?」 「ちゃんと言う。だから一緒に行こう?」 「…うん!!」 メイセ君と話していると自分の娘を思い出す。 「えっ?メイセを預かる?」 お菓子を取る手が止まる。 「あぁ、そのつもりだ。」 「そんな急に…。」 「これは私が決めたことなの。」 「…まぁサザルさんなら頼れますけど…。」 リョク君は長い時間かけて考えた。 「分かりました。メイセ、たまには帰って来いよ。」 「うん!!ありがとうお兄ちゃん!!!」 「メイセさん、頑張ってきて下さいネ。」 「うん!」 その笑顔は娘の笑顔にそっくりだった。 研究所に戻るとまずすることは掃除だった。 床に散らばった設計図を集め掃除機をかけてほこりを吸いまくった。 そして半年くらい立ち上げていなかったパソコンを立ち上げた。 「メイセ君、いきなりですまないが、忙しくなるかもしれないぞ。」 それから俺は活気を取り戻した。 前までやっていた男性型アンドロイドの製作を突然女性型に変えプログラムを書き換えた。 --- 2009年、3月24日。 「起動するぞ…。」 メイセ君に語りかけながら目の前のガラスに入った少女を見る。 蘇れ…ティレ…。 空いてしまった2年の空白は埋めることは出来ない。 でもこれからは新しいティレとして… 最初の設定の時もお父さんとは呼ばせず博士と設定させた。 もう娘の時のティレではない。 これからは色んな人と出会い、仲間を作っていく。 永遠に生きれなくても、ティレが生きた証は残る。 これからが楽しみだ…。 誕生日おめでとう、ティレ。
投稿者コメント
ロウ「今回はティレをよく知る人に語ってもらいました。」 レイ「良い話ですねぇ・・・。ゼイドさんの話と比べるととても泣けます・・・。」 ゼイド「俺の話と比べんな!!!」
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