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小説「
第四巻
」を編集します。
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作者名
ロウ
タイトル
*
内容
*
何も知らなかった事実、2人の間に漂う不穏な空気、そしてこれからのこと…。 ロイスの頭はこんがらがっていた。 エータの表情は相変わらず俯いたまま黙り込んでいる。 よっぽど思い出したのが辛かったのだろう。 ロイスは声をかけることが出来なくなっていた。 一人で外に出ることは出来たのだが、今のエータを一人にさせるのはいけないと思い、ロイスはためらうことしか出来なかった。 「…ちょっと、付き合ってくれねぇか…。」 ロイスの提案に、今まで俯いていたエータが久しぶりに反応をした。 「え、えぇ・・・・・・。」 あたりはすっかり夕日が差していた。 2人は当てもなく外へ出ると歩き出した。 2人の間で漂っていた不穏な空気は消えることなく、定着していた。 「いやぁ、まさかお前が貴族だとはなぁ。ってことは箱入り!?だからあんなに本読んでたのか。」 「…。」 ロイスは空気を換えようと話し出したが、変わるような気配はなかった。 「…。」 ロイスは静かにエータの様子を伺うと、急に口を開いた。 「何でも一人で抱え込むなよ。」 「えっ…。」 その言葉は、2人の間にあった不穏な空気を一気に吹き飛ばした。 「お前一人で抱え込みすぎなんだよ。困ったときは頼ってくれよ。」 ロイスはそういうと記憶を思い返した。 「お前、影って知ってるか?」 「え、えぇ、一度神話を読んだことはありますけど…。」 エータの反応を聞き、ロイスは再び話し出した。 「実はな、俺自分の影に左翼奪われたことがあるんだ。」 「えっ。」 ロイスはあの頃の記憶を呼び起こした。 「あの時、羽の無い姿が醜くて情けなくて…。焦燥に駆られてた。 でもそんな俺にある人が声をかけてくれた。」 エータは静かにロイスの話を聞いている。 「俺、その人の言葉が無かったら影と戦おうとか思わなかったし、多分生きる気を無くしてたかも知れない。 あの人の一言があったからこそ、今の俺があるんだ。」 ロイスは息継ぎをすると、また話し始めた。 「だから次は俺だって誰かに手を差し伸べたい。誰かを助けたいって、そう思ったんだ。」 ロイスの顔は晴れ晴れしていた。 「お前はこれから何をしたいんだ?」 ロイスの急な問いかけに、エータは戸惑った。 「えっ…。私の、やりたい事…。」 エータはしばらく考え込んだ。 数分後、エータは口を開いた。 「私…。私、この町を救いたい…。でも…。」 ロイスは少し引っかかった。 「でも?」 「でも…私に出来るのかなって…。私にはそんな力は…。」 ロイスはため息を一つ吐いた。 「そんなこと、やってみねぇと分かんねぇじゃねぇかよ!!」 エータの心の靄が晴れた。 「今までお前と1年半一緒に行動してたが、お前は人を守りたいって言う強い意志がある。今日だって俺が行動不可なときに助けてくれた。お前にはその力があるんだよ!! お前の『この町を救いたい』っていう夢は凄いことだと思うぜ。」 「人を守りたいっていう、強い意志…。」 エータはこれまでの1年半を思い返した。 すると、エータの目の前が突然ぼやけた。 エータは涙を見せないように、後ろを向いた。 「バレバレだっつぅの…。」 ロイスはそっと呟いた。 「さて、民宿に戻るか。今日、俺も泊まっていってもいいか?」 「えっ。」 「大丈夫だよ、俺床で寝っから!!」 2人は歩いて民宿へと帰っていった。 朝目覚めると、そこには一人しかいなかった。 「あれ?確か昨日…。」 昨日まで床で寝ていたロイスの姿が無い。 「まさか!!」 エータは急いで布団から降りると、外へ出、そのスピードのまま走っていった。 地面を自分の足が蹴る。一歩、二歩と。 「お願いっ…間に合って。」 3歩目で自分の体は空中へ浮いた。 「…。元気でな。エータ。」 ロイスは洞窟の前でそう呟くと、後ろを振り返り、歩き出そうとしていた。 「・・・ロイスさん!!!!!」 背中から聞き覚えのある声がして、ロイスは振り返った。 すると、空からエータが降りてきた。 少し着地がグラっとし、息が乱れていた。 「お前、その体で…。」 エータは乱れた呼吸を直すと、ゆっくりと前を向いた。 「何で…。何で何も言ってくれなかったんですか…?」 「…。」 ロイスは言葉が出なかった。 「別れの言葉くらい…言わせてくださいよ…。」 声は疲れ切っていて、体力が消耗していた。 「もう、最後かもしれないのに…そんなのって…。」 そのとき、2人を隔てていた壁が、一瞬にして壊れた。 「すまなかったな。俺、何も言わないほうがいいのかなって、そう思って…。」 ロイスは、エータを包んだままそう言った後、エータを離した。 「でもな、これで最後とは限らねぇ。またきっと会いに来る!!きっと、いやっ、絶対!!」 エータはその言葉を聞き、頷いた。 「じゃあ次に会うときまで、元気でな!!」 「…。」 ロイスは後ろを向き、行こうとしたときにエータが話し始めた。 「待ってます…。私、いつまでも、また会えるまで、待ってますから!!」 エータはそういうと、最初で最後の笑顔を見せた。 それを見て、ロイスは笑って答えた。 「おぅ!!!」 それから10年がたったある日のこと…。 ここは街の中心の城。 戦争の傷はすっかり直り、すっかり17年前の姿を取り戻していた。 そんな城の前に一人の戦士が訪れてきた。 「姫様、お客様です。どういたしますか?」 「分かりました。すぐに向かいます。」 この城の姫は、城から出て、客人の元へ行こうとした時に、足が止まった。 破壊と再生が行われているこの空で 俺たちはまた、巡り合った。 破壊と再生が行われたからこそ 俺たちは再会することが出来たんだ。 完
投稿者コメント
ついに4巻。 最終巻です、最終巻!! シリアス展開から一気にハッピーエンドへ向かうのか、それとも…。 空の勇者ロイス、最後の物語!! ごゆっくり、お楽しみください!!!!!
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