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小説「
プププ小戦記(前編)
」を編集します。
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作者名
桜木ハル
タイトル
*
内容
*
ここはあきれかえるほど平和な国・プププランド。住民たちはいつもと変わらない、平凡な日々を過ごしていた。 …はずだったが――。 * カービィがいつもどおりデデデの城を目指している時だった。嫌な噂が聞こえてきた。 「大王の城の○○○、最近何だかやる気がないみたいなんだけどさ――」 肝心の名前がよく聞こえなかった。尋ねようと声の方を振り返ったが… (あれ、誰もいない…) まあ、いいか。そう思ったカービィだったが、嫌な予感は消えなかった。 デデデ城に着いたカービィは、真っ先にデデデ大王の部屋へと向かった。 「やほー、大王! ご飯ちょーだい♪」 「…いいゾイ…」 返事をしたデデデの顔はいつになく暗かった。いつもだったらここでケンカが始まるはずなのに…。 「何か、あった、の?」 さっきの嫌な予感が強まった。もしかして、さっき聞こえてきた噂に何か関係が――? デデデがため息をつきながら答えた。 「ワドルディがまったく仕事をせんのだゾイ…」 ビンゴ。 頭を抱え、より一層暗い表情をカービィに向けると、デデデはカービィに頼みごとをした。 「ワドルディの様子を見てくれんか?」 「ええー? 僕が? なんで?」 「いいから行ってくるゾイ!」 カービィは無理やり部屋から追い出された。 * 「まったく…なんで僕が行かなきゃなんないのさ」 ぶつぶつと文句を言いながら、カービィはワドルディを捜しにいった。 ところが、城のどこにもワドルディの姿はない。 「おかしいな…家にいるのかなぁ…」 ワドルディの家に到着。カービィは、そっと窓から家の中を覗いた。 なんとワドルディは呑気に寝ていた! 家の中に入ろうとしたが、鍵がかかっている。 「まったく!」 カービィは吸い込みで扉を外し、中へ入った。 「ちょっとワドルディ! どうしたの?」 起きる気配はない。 「もう!」 カービィは布団を取った。 「ムニャムニャ…」 それでも起きる気配はない。カービィは苛立ってきた。 何度もワドルディを起こそうとするうちにたまらなくなったカービィは、一旦外へ出ることにした。 * 「これで起きるはずだ!」 しばらくして戻ってきたカービィの手にはマイクが握られていた。 「ボェエエエエエエエエ!」 カービィは勢いよく歌い出した! バタン! すると、ワドルディは起きてすぐ気絶した。 「しまった、まだワドルディと会話すらしてないのに…」 せっかくワドルディを見つけたのに何やってるんだ…。カービィは後悔した。 「もうめんどくさいなー…おなかも減ってきたし、起きるまで待ってるにしてもいつまでかかるか分かんないし…。適当に報告してこよう」 * 再びデデデの部屋を訪れると、待ちかねたかのようにデデデが部屋から飛び出してきた。 「ワドルディはなにをしていたゾイ?」 「寝てたよー」 「なんだそれは! サボっていたということか?」 「えぇと…熱! 熱が出てるってさ!」 「むぅ…それなら仕方ないが…」 しかし、日が変わってもワドルディがやってくる気配はなかった。 * それからさらに一週間が経ったある日。 「やぁ、大王! 暇だから遊びに来たよー…ってどうしたの?」 「まだワドルディが来んのだゾイ…!」 その時、ついにデデデの堪忍袋の緒が切れた! 「代わりにお前に働いてもらう!」 「えええぇぇぇっ! ちょっと大王、僕は関係ないんじゃ――」 バァンッ! デデデは傍にあった机を怒りに任せて思い切り叩いた。 「ひいっ!」 「いいから働くゾイ…もうわしは…我慢の限界ゾイ…!」 そう言うデデデの声は、静かだがすごみがあった。 これ以上反対するのはよそう。カービィは素直に返事した。 「はい…分かりました…」 「では、お前にはワドルディがやるはずだった仕事を片付けてもらうゾイ」 デデデは懐から紙を取り出すと、それをカービィの目の前に突き付けた。 「これを見ろイ!」 仕事内容 ・城の外壁全ての掃除 ・城の全ての場所の窓拭き ・城中の床をぴかぴかになるまで磨く ・わしの愚痴やわがままを聞く それは、ワドルディの仕事内容の一覧だった。 「ワドルディはこれだけの仕事をやってるんだゾイ。これが一週間もないとなると、わしは我慢ができんゾイ!」 「お、多すぎでしょ…」 「いいからやる!」 「こんなにたくさんやりたくないよ! じゃあね!」 「…そうか。これをやればうまいもん食わせてやろうと思ったのになー。残念だったな。じゃあな〜」 「あー、やっぱり暇だったからやるよ」 結局は食べ物に釣られるカービィだった。 * その頃、城から数キロ離れた地点を、ワドルディは歩いていた。 ワドルディは歩みを止めると、自分が今まで歩いてきた方向を見やった。自分の家はまだそんなに遠くではなかったが、山の影に隠されよく見えなかった。さらに向こうに見えるデデデ城に目を移す。 (大王様…きっと怒っているだろうな…) ワドルディは考えた。 (でも、僕にはやらなきゃいけないことがあるんだ) その時、後ろから聞き覚えのある声がした。 「こんなところで何をしている?」 「!」 振り向くと、そこに立っていたのはメタナイトだった。 「陛下がお捜しだ。今すぐに城に戻ったほうがいい」 ワドルディは黙って先に進もうとした。しかし、メタナイトの突き刺すような目線から逃れられなかった。 これ以上隠しても無駄だと感じ、ワドルディは仕方なく彼に事情を話すことにした。 「実は僕、自分に自信がなくなっちゃったんだ。毎日のように大王様に迷惑をかけてるし…それになんたって弱いし…。強いみんなと比べてしまって、仕事に行く気がしなくなっちゃったんだ。だから修行に出ようと思うんだ」 「…そうか」 「じゃあねメタナイト」 そう言ってワドルディは進んでいった。 (わざわざ修行をする必要はあるのか…? それも今更…) 疑問だったが、ワドルディの様子は嘘を言っているようには見えなかった。 メタナイトはデデデとカービィに真実を告げるべきか迷った。このまま本当のことを言わなければ、ワドルディは誤解され続けるだろう。しかし、真実を知った二人が黙っているはずがない。 色々考えた結果、メタナイトはワドルディの気持ちを尊重することに決めた。 (しかし、このままワドルディを放っておくわけにはいかない) ワドルディは修行慣れしていない。万一のことがあった場合に備え、メタナイトは見つからないよう追尾することにした。 やがて、ワドルディは分かれ道のところで足を止めた。しばらく悩んだあと、彼は再び歩き始めた。 その先で二人を待ち構えていたのは、巨大な山脈だった。 (馬鹿な…まさかこの山脈を登る気か? ここを登ろうとして命を落としたものはたくさんいる。ここを制覇することは、私にだって難しいぞ…) そんなメタナイトの心配をよそに、ワドルディはやる気満々だ。 「…よし、僕だってこれぐらい登れることを見せてやる!」 ワドルディは躊躇なく山脈に向かっていった。 (修行と言えどこれは無理だ! 命を落としてしまっては元も子もない。やはり止めるべきか…?) メタナイトが悩んでいる間にも、ワドルディは登っていた。 (ここでワドルディを止めれば、あいつの生き方を否定することになる。それに、頑固なあいつのことだ。私が止めたところで聞かないだろうな――ん? ワドルディは?) いつの間にかワドルディはメタナイトの視界から消えていた。 (いかん、見失った!) メタナイトはすぐさま飛んでワドルディを捜した。 少し進んだところで、メタナイトは誰かの悲鳴を耳にした。振り返った彼が見たものは、今にも崖から落ちそうになっているワドルディの姿だった。どうやら、崖の傍を歩いている時に足を踏み外したらしい。 ワドルディの左手が滑り落ちた。かろうじて右手でつかまってはいるが、それもいつまでもつか分からない。 (…やむをえん) メタナイトはワドルディのところへ直行すると、山のふもとでワドルディを解放した。 「…メタナイト」 しばらく沈黙したあと、ワドルディが口を開いた。 「どうしてここに?」 「いや、たまたま通りかかっただけだ。そしたらお前が落ちそうになっているのを見つけた」 「ふーん…」 ワドルディは見るからに怪しんでいたが、メタナイトはそれを押しのけこう言った。 「もし私がいなかったらどうなっていたんだ」 「そ、それは…」 メタナイトはワドルディを帰そうとしていた。彼がこの山を越えるのは無理だと判断したからだ。 「そうだろう。お前は山脈から落ち、命を失っていた。もう無茶なことはよせ。家に帰るんだ」 「で、でも――」 ワドルディの言葉をさえぎり、メタナイトは続けた。 「今、城ではお前の代わりにカービィが仕事をしている」 「ええっ! なんで?」 「仕事をする者がいないから、陛下がカービィに仕事を押し付けたのだろう。外からはそんな感じに見えた」 「……」 「お前一人がいなくなるだけでも、すでに二人に迷惑をかけている。これから戻らないつもりならさらに多くの人に迷惑をかけるだろう。悪いことは言わん。家に帰れ」 ワドルディは悩んだ挙句こう言った。 「でも、やっぱり納得いかないよ」 カービィはやらなくてもいい仕事をしている。たぶん、大王様も怒っている。そのことは、みんな僕のせいだ。僕がいなくなったから。 ワドルディは、頭ではそのことを理解していた。しかし、自分が必要とされているという風に心から思うことはできなかった。 なぜだろう。なぜだか分からないけれど…。 「…そうか」 ワドルディがとまどっているのを見て、メタナイトは答えた。 「それなら、好きにするがいい。自分の納得がいくまで、思う存分悩んでみることだ」 そう言うと、メタナイトは城へと引き返していった。 その場に残されたワドルディは、メタナイトが残した言葉を何度も噛みしめていた。 * その頃デデデ城では、カービィがせっせと仕事をこなしていた。 「次は窓拭きをしろ!」 「えー、まだあるの…」 「いいからやれい!」 「はぁ…」 カービィが道具を用意していたその時だった。 「うっ…」 デデデ大王が倒れた! 「道具はこれでいいのー? デデデだいお…! どうしたの!」 「うぅ…」 「すごい熱!」 カービィはデデデを寝室のベッドまで運んだ。 「もしや、今日はいつにもなく迫力があったのは熱のせいだったのかな…熱気も伝わってきたし…。とりあえず頭を冷やさないと」 カービィは城の警備をしているチリーを部屋まで呼び、大きな氷を作ってもらった。 「大王様、大丈夫かなぁ…」 氷をデデデの頭に乗せながら、チリーが呟いた。 「ワドルディもいないし、誰が大王の看病をすればいいんだろう…。やっぱり僕がするしかないかなぁ」 カービィも呟く。それを聞き、チリーは驚いて聞き返した。 「えぇっ! ワドルディがいなかった?」 「うん、最近仕事に来てなかったんだって」 カービィの言葉に、チリーは怪訝そうな顔をした。 「おかしいな…ワドルディの仕事は主に掃除だけど、城はいつもピカピカだったよ。だからワドルディがいないなんて考えたこともなかったけど…」 「とりあえず、チリーは大王の看病をしてて。僕は薬をもらってくるから」 「分かった」 * その頃、ワドルディは家に帰っていた。 (また迷惑をかけちゃった。みんなに迷惑をかけないように修行しようとしたのに…。これからどうしよう) ワドルディは家に置いてあるパラソルを手に取った。 「やっぱり城に行こう。こうして僕が悩んでいる間にも、カービィが代わりに働いているんだ」 誰にともなく言って、ワドルディは家を飛び出した。 城に到着したワドルディは、急いで階段を上りデデデの部屋へと向かった。部屋に着くなり、ワドルディは大声を上げた。 「ごめんなさい、大王様! ただいま戻りました――」 続きを言おうとしたワドルディは、部屋に誰もいないことに気付いた。 (あれ…? 誰もいない…) ワドルディは、メタナイトが語った内容を思い出した。 (そうか、きっと大王様はカービィと一緒にいるんだ) 二人を捜さなくちゃ。 ワドルディは勢いよく廊下を駆けていった。 * その頃、カービィのほうもワドルディを捜していた。 実は、ワドルディが家に戻っている間、カービィは病院まで行って薬をもらおうとしていた。しかし、医者に診察しないと何の薬を渡していいか分からないと言われたので、デデデの世話をチリーに任せ、自分はワドルディを捜しにいくため、奔走していたのであった。 そんなこんなで、カービィはワドルディの部屋まで行ったが、そこに彼の姿はなかった…。 「あれ? あんなに寝てたのに一体どこへ…。そうだ! きっとワドルディのことだから城に行ったのかも」 カービィは駆け出した。 彼の考えた通りに、城にはワドルディがいた。 「カ、カービィ!」 「ワドルディ! やっぱりいたんだ! 実は、君のいない間に大変なことが起こって…」 カービィはデデデが体調を崩したことを言った。 「えぇっ! 大王様が!」 「うん、でも、チリーが病院に連れて行ったから大丈夫!」 「そうなんだ…」 ワドルディがホッとしたその時。 「カービィ、ワドルディ!」 メタナイトが大急ぎで飛んできた。 「ど、どうしたのメタナイト?」 「陛下が何者かに連れ去られた!」 「えっ! どういうことなのメタナイト!」 「うむ、実はな…」 メタナイトは、これは他の者から聞いた話で、私はその場にいなかったから詳しいことは分からないが、と前置きしたうえで語り始めた。それは大体次のような内容であった。 病院にて――。 「では大王様、城へ戻りましょう」 「うむ、それにしてもカービィはどこに行ったんだゾイ?」 「さぁ…」 病院からの帰り道、その事件は起きた。 「ふっふっふっ…いいところに大王がいるぞ…しかも護衛は一体。このチャンスを見逃してなるものか…行くぞ!」 チリーの必死の防衛にもかかわらず、そのままデデデは連れ去られてしまった…。 カービィとワドルディは、その話にショックを受け、黙ったままでいた。 「とにかく、陛下は何者かに連れ去られてしまった。チリーのほうはというと、今は城の医務室にいる。傷を負って休んでいるところだ」 「大王を襲撃したのは誰だったの?」 「チリー本人も不意討ちを受けたので分からないらしい」 「そ、そんなぁ…」 その時、三人に話しかけた者がいた。 「あの、大王様が連れ去られているところを見かけたのですが…」 それは、デデデの部下の一人のバードンだった。 「大王様が体調を崩されたという話を聞いたので、私は大王様のお見舞いをしようと思ったんです」 バードンは状況を詳しく説明し始めた。 「病院に向かっている途中、すごい叫び声が聞こえました。急いで行ってみると、ちょうど大王様が襲われているところだったんです!」 「そ、それで…大王様を襲った犯人は…?」 ワドルディが恐る恐る聞くと、バードンはしばらく考えてからきっぱりと言った。 「…大王様の部下たちでした」 「!」 なぜそんなことに? まさか、反乱でも起こすつもりなのか? 三人がうろたえていると、再びバードンが口を開いた。 「そして、私はすぐに空を飛んで追いかけたんです。でも、途中で見失ってしまった…」 「どのあたりで見失ったんだ?」 「クラウディパークのいつも嵐が吹き荒れている場所です。風も強く、なかなか進めずに困っているうちに、見失ってしまいました…」 「なるほど…そこなら行こうにも行けないってわけか…困ったな」 「確かに大王様はわがままだし、悪口を言うときもあるけど、いいところもたくさんあるんだよ! 単に不満だからって理由で大王様やチリーに危害を与えるなんて納得がいかないよ! 今、大王様は体調が優れないというのに…」 そんなワドルディの言葉に、カービィも同調した。 「…うん、それは僕でも許せないよ。どうやったら部下たちを改心させられるかな…デデデ大王は人質に取られてるし…」 「だが」 メタナイトは言う。 「空を飛ぶプロであるバードンが行けないとなると、私たちでも行けない可能性が高い。下手をすれば空から落ち重傷を負ってしまうかもしれない…」 「ああーっ!」 突如、カービィが素っ頓狂な声を上げた。 「どうしたんだ、カービィ」 「いいこと思いついた! ダイナブレイドに助けてもらおうよ。いくら嵐が吹いてても、ダイナブレイドだったら一気に突っ切れるよ」 「そうだな。よし、ダイナブレイドの巣へ行こう!」 早速、カービィたちはダイナブレイドの巣へ向かった。 * 「到着!」 「あっという間だったね」 「しかし、肝心なダイナブレイドがいないではないか」 「あっ、何かが飛んできます」 空の彼方から、ものすごい勢いで大きな鳥の影が迫ってきた――ダイナブレイドだ。 「おっ、来た来た。おーいダイナブレイド!」 カービィの呼び声を聞き付け、ダイナブレイドは大きな輪を描いて降りてきた。着地の暴風がおさまってから、カービィは言った。 「僕たちを、クラウディパークのいつも嵐が吹き荒れている場所まで乗せてってくれない?」 ダイナブレイドはうなずくと、背中を向け、乗るように促した。 「よし、出発だ!」 ダイナブレイドの背に乗って、四人はクラウディパークへと向かった。 * ダイナブレイドは稲妻のごとき高速で飛び、ついに嵐の中へと入った。嵐の中は想像以上の暴風域だった。カービィたちは飛ばされないよう、必死にダイナブレイドにしがみ付いて耐えた。 突然目の前に青空が広がった。ついにダイナブレイドが嵐を抜けたのだ。そのまましばらく進むと、眼下の雲海にぽつんと黒っぽい点が見えた。きっとあれが敵の基地だ。 「ありがとう、ダイナブレイド! 僕たちをここで降ろして!」 ダイナブレイドは一声鳴くと、みるみる高度を下げた。そして建物の前にカービィたちを降ろすと、自分はどこかへ飛び去った。 「やっと着いた〜」 「急いで陛下のもとへ行こう!」 皆が意気込んで一歩踏み出したその刹那。 「ここから先は通してたまるか!」 声のしたほうを急いで振り返る。そこにいたのは――。 「ボンカース!」 なんと、そこにいたのはデデデの部下であるはずのボンカースだった。 「へっへっへ…お前らがここに来たのはデデデを助けるためだろ? 残念ながら、この基地の周りには監視カメラが付いている。お前らが来たことは基地の全員に知らされた! 俺たち全員に勝てるかな?」 「くっ…」 「お前らはなぜ陛下を連れ去った? 何か不満があったとしてもこれはやりすぎだろう!」 「俺たちはもう我慢の限界だ! そこまでにさせたデデデが悪い!」 (駄目だ、怒りで我を忘れている…) 「とにかくお前らを通すわけにはいかん!」 急にボンカースが殴りかかってきた! その時、一度姿を消したはずのダイナブレイドが戻ってきた! バチン! ダイナブレイドは足でボンカースの攻撃を受け止めると、そのまま蹴り上げた! バシーンッ! 巨鳥の鋭いキックをもろに食らったボンカースは、ものすごい勢いで吹っ飛んでいき、やがて見えなくなった。 カービィはダイナブレイドに駆け寄った。 「ありがとう、ダイナブレイド。おかげで助かったよ」 ダイナブレイドは満足そうにカービィたちにおじぎをした。そして、再び空高くへと姿を消した。 その姿を見送ってから、カービィたちは敵の基地へと潜入した。 * デデデを捜しながら、カービィたちは基地内を歩いた。しかし、デデデはおろか、誰の姿も見えない。 (もしかして、みんなもうここにはいないんじゃないのかな…) 誰もがそう考えたその時! ウーウーウー! 「ん、何だ!」 急に警報が鳴り、カービィたちは大勢に囲まれた! 「さっそく来たな」 「くっ…反逆者か!」 「いくらお前らが強かろうと、この数には勝てまい!」 部屋はすでに敵で満杯だ。ちらっと部屋の向こうに目をやると、そちらにもたくさんの反逆者の姿が見えた。 メタナイトは舌打ちしながら、腰に差していた剣を抜いた。 「いきなり暴力で片付けるのは気が引けるが…だがこのままでは私たちがやられてしまう!」 相手は武器を構えており、いつでも襲いかかってきそうだ。 「ど、どうしよう…」 「なにをこそこそと話している! お前らはここで終わりだ! うぉおおりゃあああ!」 反逆者たちは攻撃してきた! 「問答無用ということか…ならば仕方あるまい…」 メタナイトが剣を構えたその時! 「ここは私が囮になります!」 バードンだった。 すかさず反論しようとするカービィたちを制止し、バードンは続けた。 「空を飛ぶ自信ならあります。ここで私が飛び回って敵を混乱させている間に、あなたたちは大王様を捜して下さい」 「でも――」 「心配しないで下さい。なんとか逃げ切ってあとで合流しますから」 敵はものすごい勢いで迫ってきていた。もはや一刻の猶予もない。この場をバードンに任せ、カービィたちは先を急いだ。 * 敵の攻撃をかいくぐり進むと、奥は行き止まりになっていた。行き止まりの壁には赤・青・緑の三色の扉があり、それぞれ太陽・滝・木の葉の文様が描かれている。 「どうしよう…」 「カービィ、悩んでいる暇はないぞ! 一か八かでどれかに入ろう!」 「よし、じゃあここに入ろう!」 カービィは、一枚の葉っぱが描かれた緑の扉を指し示した。 「カービィ、なぜここを選んだ?」 そう尋ねたメタナイトに、カービィは明るく答えた。 「この葉っぱって、リンゴの葉っぱに似てるよね」 (こんな時くらい食い意地抑えてろよ…まったく、このピンク玉は…) 内心呆れながら、メタナイトはカービィの選んだ扉を観察した。一見したところ、罠らしきものは仕掛けられていないようだが…? 「この絵は何を示しているのだろうか…」 「行くよメタナイト!」 「う、うむ」 (考える時間はないな…) ――後編へつづく
投稿者コメント
かなりのご無沙汰です。今回も「永久物語」の内容をまとめました。 ご無沙汰すぎて永久物語が何なのか分からない方もいるので改めて説明を。 以前このサイトの掲示板で、複数の人が物語をつなげていくというスレッドがありました。 それが永久物語。今回は、別サイトの掲示板からの出典です。 掲載許可は得ましたが、問題等あるかもしれません。その場合はすぐ消しますのでご連絡下さい。
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